泰明は仰向いきから、上半身だけを半ば捻った姿で眠っていた。敷き布を軽く掴んで
いる手は、抱きしめる物を探しているのか、時折ぴくりと動いた。
「うわあ、可愛い寝方するんだ」
御張台から垂れる張を開いた詩紋が感嘆した。畳を二枚敷いた上に、高価な真綿の
床が延べられている。泰明がこれほど安らかな顔をしているのは、その寝心地の
良さもあるのだろう。
京の人間が普通は、固い畳に直に寝ている事を詩紋は知っているだけに、これがすごい
贅沢だという事がわかる。
永泉の、泰明に対する思いの表れだった。
「まるで幼子のようでしょう?」
ふわりと膝をついた永泉は泰明が被っていた上掛けを剥いだ。
「ん・・・」
突然の寒さに華奢な体は竦んだが、目覚める様子はなかった。
「何時もは、色んな事に敏感で目を覚ましてしまうのですが・・・今は疲れていますから」
「永泉のせい?」
寝乱れた夜着から覗く肌を見ながら詩紋が言った。
大きくはだけた胸元には無数の赤い花びらが散っていた。皮膚の色が人にしては白すぎる
ほどなので、余計にそれは目立った。
「ええ。私のせいです」
柔らかな髪を一つ撫ぜ、永泉はにっこり笑った。
「それで? 最初は何をしましょうか」
「あ・・・じゃあ、まず慣らしてあげて下さい。ねえ、永泉さん、泰明さんってどれくらい使って
るの?」
あえて場所は言わなかったが、問いに永泉の瞳がすっと眇められた。
「無粋な質問ですね」
「ごめんなさい!  でもっ、僕の持って来た物、経験少ない人にはきついのもあるから・・・」
詩紋は頭を下げた。
「気遣って下さったのですか」
伸ばされた手が詩紋の頬に触れた。温かで気持ちの良い掌だった。
「お見せするのが一番だと」
永泉が細い腰を掴んでうつ伏せにさせた。体を捻っていたせいで、詩紋が手伝うまでもなく、
簡単に泰明は裏返えされてしまう。
躊躇いもなく裾は持ち上げられた。
剥き出しにされた小さな尻を永泉が詩紋の目の前に割り広げて見せる。
「すごい、真っ赤・・・」
「まだ充血が取れていないのです」
指先で息づく裂け目をなぞると、そこがきゅっと窄まった。
「痛いと叫ばれるばかりですが、勿論、感じておられます」
「今挿入れちゃうと、敏感になりすぎてるから、きっとすごいですよ」
他には誰も室内にはいないのに、詩紋は声を潜めて永泉に囁いた。
「それが楽しいでしょう」
泰明の枕元に置いていた合わせ貝を永泉は取り上げた。中には飴色に光る香油が収められて
いる。
「いい匂い」
「泰明殿の為に私が調合した物ですから」
揃えた指先で永泉が拭い取ると、香油はとろりと滴った。しばらく掌で温め、体温に馴染ませる。
泰明を驚かせないようにする為だ。
ほど良く温まった香油が秘所に垂らされた。
「・・・っ」
「大丈夫ですから・・・」
泰明の背を優しく撫ぜて宥め、永泉はするりと指を忍び込ませた。
嬲られた跡を残す泰明のそこは、大して寛ぐのに時間を要しなかった。元より常の慎みに戻り
きれていなかったのだ。
永泉に促された詩紋が、直径3センチほどの玉が7つ連なった物を渡した。
「きついですか?」
「いえ、これくらいが泰明殿には丁度でしょう」
最初の玉を指先でぐっと小さな入り口に押し当てる。外部からの異質な圧迫に泰明は強張った。
それでも、上から力を掛ける永泉に抗いきれず、あっけないほど簡単に玉は体内に消えた。
「美味しそうに飲み込みましたね」
中から溢れた香油が前方の萎えたモノに向かって流れ、床に染みた。
秀麗な泰明の顔は、次々に咥えさせられる物に苦悶の色を浮かべた。
「三つ、四つ・・・」
数えながら入れていく永泉の横から、詩紋は泰明のそこに香油を足してやった。
「すごい、全部入ったんだ」
「お腹はずいぶんいっぱいになったみたいですが」
永泉が泰明の下腹に空いた手を滑らせた。押さえてみればごつごつした異物が感じられる
ほどだった。
「次はこれをね」
広げた掌ほどの黒い小さな箱を詩紋は出した。
「一つ押して・・・」
突然、くぐもった鈍い音が起こった。
「うう、う・・・」
「身の内で、動いていますね」
「うん、そう。振動してるの。今度は僕が数える。一回押す毎に動く玉は多くなるんだ」
少しずつ間を置いて指を動かす詩紋の手首を永泉が掴んだ。
「永泉さん?」
「こういう場合は・・・」
つっと指がリモコンに走った。
「一息に、7つ」
「あああああっ!!!!」
泰明がかっと瞳を見開いた。
「く、苦しいっ、ああ、あ・・・、く、っ、んんっ」
腹を抱えて泰明が身を丸めた。
のたうつほどにもがく泰明を押さえつけながら、永泉は笑んでいた。その微笑が刻む表情
に、詩紋は引き込まれた。

あれ? 終わらなかったです。次回完結編
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