「い・・・ああっ」
泰継が背を反りかえらせた。うつ伏せに腰だけを突き出した形に据えられている。ぐぐっと
撓らせる様が子猫のようだと、永泉が笑った。
「本当はお顔を見ていたいのですが、初めての体にはこの体勢が一番負担が少ない」
身を乗り出した永泉は指でさらに深く泰継を抉った。
「ああうっ!」
時親と二人の指を含まされた秘所が押し広げられ、引き攣っていた。寄りそうように侵入した
指達は、香油の助けを借りて、今は思い思いに蠢いている。
「あ、あ、あ、」
「時親殿。これ以上は無理でしょう。何も変わりはしない。これから泰継殿の師として立たれる
あなたから・・・」
紫がかった瞳がついと時親を促した。
「・・・わかった」
指を引き抜いた時親が泰継の髪を撫ぜた。温もりを感じる暇もなく、彼の手は離れてしまったが、
泰継は安堵を覚えていた。
背後で衣擦れの音がした。
「時親・・・?」
振り返ろうとしたのだが、素早く永泉によって頭が床に押さえつけられた。
「う・・・っ」
「呼吸を落ち着かせなさい。大きく息を吸って・・・そう」
幾度か泰継に深呼吸をさせ、宥めるように永泉が背に触れた。
瞬間・・・。
「−−−−−−!!」
信じられないほどの衝撃に泰継が掠れた悲鳴を上げた。高く掲げた場所から起こった激痛に意識
がふっと眩みかける。
しかし、途切れる事なく襲いかかる新たな痛みの波にそれは遮られた。
「や・・・やああっ、あっああ!!」
治りきらない傷口を掻きまわされるような、堪えがたい衝撃が次々に沸き起こる。反射的に跳ね
あがる体は二人がかりで封じられた。時親を迎えた双丘がぶるぶると震えた。
「く・・・っ」
締めつけてくる泰継の肉に時親は顔を顰めた。目覚めさせた人形がこれほど見事な器を持って
いる事が意外であり、また嬉しかった。
伝えきいただけの泰明とはどう違うのだろうか?
稀代の陰陽師として名高い祖父の陰の気でもって創られた彼ら。内にどれほどの力を秘めて
いるのか・・・。
「泰継、・・・」
時親が細い腰を掴んだ。一息では収めきれなかったモノを打ち込む為に。
激痛に息をする事すら苦しくなって、泰継が顔を上げた。涙で霞む視界に嫣然と笑む永泉が映った。
「いた・・・痛い・・・」
切れ切れに痛みを訴えてくる姿が永泉の抱える記憶とだぶる。緑がかるほど薄い色の髪を乱して、
彼もまたこうしていた。
永泉を見つめていた瞳に、額を伝った冷や汗が入って痛んだ。
「や・・・」
「そう言えば、止めてもらえると思うか?」
時親が全てを咥えさせると、高ぶる気持ちのまま動き始めた。
「うううっ、あ、くうううっ」
唇を噛み締めても声は漏れた。理由もわからぬまま、悲鳴を上げる事に抵抗を感じたのだ。恥ずかしい
事だと・・・嫌な事なのだと・・・心の奥から訴えるような感情が湧いてくる。
泰継の歯がきり、と鳴った事に気付いた永泉が不思議そうに顔を覗き込んだ。
「何をしているのですか?」
掌で頬を挟む。顎の合わせに指を食い込ませ、泰継の口を無理に開けさせた。
「今、あなたはどうなっていますか?」
永泉に問いかけられる。時親が汗ばむ背に手を滑らせた。
「・・・泰継、わかるか? 私がおまえに入っている事が」
怒張を引き抜き、時親は再び柔らかな肉に捻じ込んだ。
「うぅぁあッ・・・ああッッ・・・!!」
身体中を揺さぶられ息も絶え絶えになった、泰継が喘いだ。
信じられないような部分が、焼けた火箸を突き込まれているかのように、耐え難い痛みを送ってくる。
無理矢理粘膜を引き裂かれて何度もそこを擦られ、内臓を押し上げられる。
時親のモノが叩き込まれる度に、ひどい吐き気が込み上げた。
「泰明殿も・・・こうして、男を受け入れていたのです」
身を屈めた永泉が泰継の唇を舐めた。
泰継がぴく、と震えた。体の中に感じる異物。動かされる度に穿たれた部分を起点に裂けてしまうような
激痛。それを泰明も味わったというのか。
「生命が与えられたばかりで何も出来ないのならば、こうして存在するしかない・・・」
止まらない涙を流す泰継の瞳を永泉が拭った。
縋る物を求めた泰継が永泉にしがみついた。
「肌が白いから、ほんのり紅を浮かべているのがきれいですね」
永泉もまた、泰継の頭を膝に乗せ、優しく撫ぜた。
「あっあっ・・・」
抽送が激しくなる。泰継と交わりながらも、彼は永泉に縋っているのだ。暗い思いを抱きながら時親は
熱い飛沫を叩きつけた。
時親が欲望を吐き出した自身を泰継から引き抜いた。傷ついた秘所からどろりと白い流れが滴り落ちる。
「零すな、泰継」
指をあてがって泰継を制し、時親が言った。
「ん・・・」
泰継が切なくうめいた。
それでも、感覚が失われたような場所をすぐに窄める事など出来ず、床に突っ伏した体からさらに時親の
熱は毀れた。
「仕込んでいけば、このような醜態も晒さなくなりますよ。この体は・・・絶品ですから」
「良く知っていらっしゃる」
時親を見上げた永泉が首を僅かに傾げた。

永泉と時親に亀裂・・・?

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