本能的に逃げかける頭を頼久が押さえた。喉奥深くに高ぶりを突き立てられ、苦しい
うめきを泰明が漏らす。
頼久にとってはそれすらも快感を誘う振動だった。
含みきる事さえ出来ないぎこちない奉仕ではあるが、頼久は自身がより熱くなるのを
感じた。
「もういいでしょう」
溢れた唾液が伝う顎を指で辿る。
「は・・・あ・・・っ」
許されたと思った泰明が安堵の溜め息を吐いた。頼久の先走りの苦さと、粘りつく不快
さに即座に水で口を漱ぐ。
「あなたを貫くにはこれで充分です。良く出来ました」
「貫く?」
自分を貫くという意味はわからなかったが、言葉の禍々しさに泰明は青ざめた。
岩から下りた頼久が、今まで座っていた場所に泰明の上体を伏せさせた。
「頼久! こんな・・・嫌だ・・・」
体を腰から二つ折りに下半身を膝まで水に浸している。臀部を空に突き出す姿に泰明が
もがいた。
「じっとしていなさい」
背に掌を置いて動きを封じ、頼久は掬い上げた水を双丘の狭間に流した。
「ひ・・・っ」
「少しでも楽になりたければ、力を抜きなさい」
体を傾げた頼久が泰明の耳元で囁いた。
「や・・・」
想像も出来ない場所に熱い何かが宛がわれる。それが先ほどまで口内にあったモノだと
気づいた泰明が振り返った。
「前を向いていなさい。不自然に体を捩るのは苦しいでしょう?」
泰明を元に戻させた頼久が細い腰を掴んだ。
不安に揺れる泰明の瞳を見ていられなかった。泰明がいくら力を抜こうと努めても、初めて
受け入れる彼には気休めにすらならないとわかっているから。
それでも、行為を中断する事は出来なかった。
泰明を求めて疼く体はもはや止めようもないのだ。
「ああ・・・」
切なく泰明が震えた瞬間、頼久は力を込めて固い入り口を突き破った。
「あああっ!!」
闇に悲鳴が放たれた。
痛い、などという生易しい言葉では表せない激痛が泰明に襲いかかる。
「ああっ、あああっっ」
仰け反った顔から涙が飛沫となって散った。
華奢な泰明の内部は頼久が考えていた以上に狭隘だった。ぎちりと纏わりつく粘膜は侵入
するモノを必死に拒んでいる。
本来外部より口を開く機能のない部分だけに、抵抗が起こるのは当然だが、中の狭さと相
俟ってすさまじい痛みを泰明に与えていた。
焦らすつもりなど頼久にはなかったが、一息に挿入などとても無理だった。
「や、いた、痛い・・・頼・・・」
時間をかけて全てを飲み込ませると、頼久は円やかな盛りあがりを割り、自身を含ませている
秘所を晒け出した。
体内へと続く、襞の折り重なる繊細な粘膜はすっかり引き伸ばされてしまっていた。
裂傷を負った内側から赤い血が流れ出している。それが、僅かに腰を動かしただけで、ねちゃりと
音を立てた。
「ひあ・・・っ」
時を経過させても泰明が慣れる事はないだろう。この小さすぎる後唇は、幾度挿れられたとて、
痛みを覚えるだけかもしれないのだ。
逃げようとずり上がりかけた泰明は、動いた事で増した痛みに硬直していた。
「今しばらく堪えて下さい」
色を失った粘膜の周囲をぐるりとなぞってから頼久は半ば抜け落ちるまで、いきなり腰を引いた。
「もう・・・っ、やぁぁっ!」
「我慢しなさい」
「出来ないっ!! 許して、痛、い」
「動きます」
泰明の哀願を黙殺して頼久は再び最奥まで抉った。
「−−−!!!」
銛を打たれた肴のように泰明が跳ねた。
背を駆け抜け、脳に突き刺さる激痛。下肢を中心に体が二つに裂かれていくのと大差ないであろう
ほどの衝撃。
惑いは泰明の苦しみを増すばかりと、頼久はもう抽送を止める事をしなかった。
悲鳴が枯れ、意識が霞みかける頃、体内深くに熱湯を叩きつけられるような感覚に泰明が反応した。
それも微かに体を痙攣させただけだ。熱さに堪える間もなく、穿たれたモノが抜かれた。
支えを失った泰明はずるずると水中に崩れた。
炎を孕んだ体が水の冷たさを心地良いと感じたにも束の間、裂けた傷口に切り込むように水が染み、
泰明はうめいた。
「ううう・・・」
岩に縋りついて尻を突き出し、痛みに堪えようと歯を食いしばる。貫かれるのとは別種の痛みは別の
角度から泰明を苦しめた。
秘所からひどい疼きが起こる。
痺れきった場所に感覚など失われていたはずなのに。
震え悶える泰明を見つめていた頼久が唇を開いた。
「中を洗うので、水の中に屈みなさい」
非情な命令が下された。

鬼畜な頼久は多分ここまで。この話はハッピーエンドになる予定です。3回ではとても
終わりませんでした。