みしりと肉が軋む音が聞こえたような気がした。
伏せた頭の横で握り締められた泰明の拳がぶるぶると震えた。
「い、痛・・・、永泉、」
「まだほんの少ししか泰明殿のお口は開いていませんが・・・。怪我を負われた時はもっと
大きく開けられたはずです」
生身の肉と、無機質な器具では開かれるにしても感じ方は大きく違うのだが、永泉は微笑
さえ浮かべて泰明に囁いた。
相手が誰であれ、初めて男を受け入れて傷ついた泰明にとっては、未だ秘所を嬲られるのは
苦痛でしかないはずだから。
「ああ・・・外は優しい色合いをされているのに、中は真紅ですね。とても美しい」
晒されてきた泰明の粘膜に永泉は素直に感嘆した。
「う・・・」
「息を止めると辛いですよ」
空いた手がじっとりと汗ばんだ背を撫ぜた。それに反応して、泰明がくっと反り返る。乱れた
髪が床を擦って乾いた音がした。
「はあ・・・、っ」
「お顔が見れないのが残念です。・・・そうですね。鏡でも用意しましょう」
泰明を広げる事を一旦止めた永泉が、冷たい尻肉に口付けた。
「動かれると、危ないです。大人しくしておいて下さい」
「永泉、頼む・・・。痛いのだ・・・」
苦しそうに泰明が顔を横に向け、永泉を見やった。顰められた双眸は潤んだ煌きを放ち、御簾の
下ろされた薄暗い室内を灯す燭を映していた。
汗で貼りついた前髪を掻き上げてやりながら永泉は泰明の表情に、背が震えるほどの快感を
覚えた。
「私が満足するまでですから。そう長い時間ではありません」
声が押さえきれずに上擦るのがわかった。
これが見たかったのだ。痛みを与えて、それに堪える泰明が。苦しむ事で艶めく彼こそが、永泉の
心に火をつける。
かたかたと震えて力の入らない手で永泉は手鏡を取り上げた。泰明の顔を映すよう角度を合わせ
て置いてやると、嫌がるように首が振られた。
「続けましょう」
「ああ・・・」
秘裂に加わる圧迫が再開されて、泰明がうめいた。
「痛いばかりでは可哀想ですね」
ふいに呟いた永泉がふいに泰明自身を掌に収めた。
「−−−!」
「感じていらっしゃいますか? 私にこんな事をされて」
包んだモノは、しおらしく項垂れてはいなかったのだ。小ぶりながらも存在を主張し、永泉の手に
温かな熱を伝えた。
「怪我をされても、感じられてしまえば、相手の罪ばかりではありませんね。私も遠慮など必要
ないみたいです」
くくくっと笑みが聞こえたとたん、緩やかに広げていたはずの器具に一気に力が加わった。
「あああっ!!」
引き裂かれる痛みに泰明が跳ねあがった。
「動かないようにと、言ったはずです」
振り上げられた永泉の手が泰明の尻を打った。白い肌に手形がつくほどの衝撃に泰明が竦んだ
瞬間、体重を掛けて背を押さえ込む。
二人の荒い呼気が室内に満ちた。
「泰明殿・・・」
「もう、止め・・・。駄目、だ・・・」
「約束を違えはしませんね?」
それは泰明を縛る呪だった。永泉は気づいていないが、泰明を封じる以上、口にした言葉は呪
なのだ。
永泉を振りほどこうとしていた泰明が静かになった。
「では中を見させて頂きます」
泰明を心の動きを察知した永泉が、押さえる手を放して身を屈めた。近くにあった燭台を引き
寄せ、泰明を明るみにさせる。
炎の熱を感じた泰明は制止を訴えたが、永泉の指が侵入してきた事でくぐもったうめきにしか
ならなかった。
「泰明殿に触れずに私の指が奥まで入りますね」
「言うなっ」
屈辱と羞恥に青ざめた泰明の顔が鏡に映っている。ともすれば漏れてしまううめきを止めようと
唇が噛み締められた。
「無駄な事を」
永泉が呟きさま、柔らかな内壁に爪を立てた。
「は、ああ、うううっ!!」
「人の体の内はこのように美しい色なのですね・・・。それとも泰明殿だけが特別なのでしょうか」
「触るな、永泉・・・」
「何故?」
「嫌、だ、だから・・・ああ・・・」
ふっと永泉は首を傾げた。
「理由になっていませんが」
濡れた粘膜を擦ってやると、堪えきれなかった悲鳴が上がった。
「あ、あ、あ・・・」
「感じてしまうから?」
長い袂の袖を翻して泰明に抱きつき、永泉が白い肌に頬擦りした。
「高ぶってしまったのでしたら、私を貫いて下さい、泰明殿」
「何・・・」
「私を抱いて下さい」
返事を強要でもするのか、穿つ器具で永泉は泰明をひどく抉った。

というわけで第4回目。白くて受け受けしい永泉ももうぼろが
出まくってる感じがします。
やっぱり私のは泰明も永泉も受けなので、こういう展開に・・・。