幼い頃以来入る事を許されていなかった師の部屋は、楊ゼンの記憶どおりの
佇まいを見せていた。
かしこに西域の紫や青がさりげなく配され、深い安らぎを全ての者に与えた。
玉鼎はソファーに深く掛けていた。手に持ったグラスには葡萄から造られた酒が
満たされている。
太乙に肩を抱かれるようにされ、楊ゼンは室内に促された。連れられた楊ゼンに
玉鼎の瞳が険しさを帯びたが、衣装に気づくとすぐに元の色を取り戻した。
「・・・楊ゼンが望んだのか?」
「そうだよ。この服が何よりの証拠」
「違・・・!」
叫びかけた口を太乙の掌が塞いだ。
「私達に加わりたいくせに」
細い指が襟へと這わされ、合わせをぐっと広げた。
「師兄、今日はこの子も混ぜて・・・ね。初めてなのだから、ソフトめに」
腕の半ばまで引き降ろされた着物によって、楊ゼンの手が自由を失った。
「可愛い子供だ」
ついと赤く染められた乳首を弄られて楊ゼンが竦んだ。その背を太乙が押す。
小柄な体がよろめいた所を玉鼎は優しく抱きとめた。
「師匠・・・んん・・・」
紡ぎかけた言葉は接吻によって封じられた。初めての口付けはどこか苦く、
それでいて甘かった。
しかし、吐息の味を感じられたのも一瞬の事、すぐに楊ゼンの意識は白く濁り、
キスの激しさに脱力してしまう。
玉鼎に抱かれ、唇を奪われている楊ゼンの背後に太乙が歩み寄った。床に膝を
つき、乱れた着物の中に手を潜らせる。
早くも汗ばみ始めた肌、速い鼓動を楽しみながら。
きめ細かい楊ゼンの皮膚が泡立った。
「怯えているのか?」
震える唇を玉鼎は舌で辿った。接吻で濡れそぼった楊ゼンの口元は、艶やかに
光っていた。
「はい・・・」
消え入るような返答。だがようやく発せられた言葉も、意地悪に動く太乙の手指に
幾度も遮られた。
「何を、される、あ・・・う、ああっ、わから・・・な、い・・・」
「私に先程言ったのは嘘?」
うっすらと太乙が笑んだ。
「無垢である事の証拠だ。尤も・・・おまえは一人で玉泉山を離れた事すらないの
だから当然だが」
太乙を制して、ふらつく楊ゼンを立ち上がらせる。
「服を落としてベッドに行きなさい」
「どうして・・・っ」
何故自分だけが、と楊ゼンが視線を上げた。子供だから休めという事だろうか。
では結局自分は、師達が過ごす夜に参加させてもらえないのだ。
「嫌です。僕だけなんて」
部屋から出されないだけましなのかもしれないが、除け者にされるのは辛かった。
「無理にされるのが好みか?」
玉鼎が苦笑した。
「おまえを一人になどせぬ」
「心配してたの? 大丈夫。二人で朝まで可愛がってあげるから」
腕で止まっていた着物を太乙は外してやった。脱げ掛かっていたせいで、帯が
解かれると、するりと簡単に床に落ちる。
「あ・・・!」
自身の体を抱きしめて、楊ゼンが蹲った。人前に裸身を晒す事が恥ずかしい。例え
それが師であっても。ましてや、彼らの方は乱れすらない道服を纏っているのだ。
「やっぱり力ずくかな」
太乙は首を傾げると、細い腕を掴んだ。同じように華奢な彼なのに、楊ゼンは敵わ
なかった。抵抗も空しく、ベッドへ突き飛ばされる。
「私に及ばないって、思い知っていたはずなのに」
柔らかいスプリングに倒れた楊ゼンが怯えを露にした。
優しいはずの師すらが怖くて、くるりと背を向ける。小さな獣が巣穴で身を縮める様に
その姿は似ていた。
「後ろが先に欲しい?」
背骨に沿って、太乙の指が滑った。
「・・・・・・ひっ」
楊ゼンの肌に口付けながら双丘を包み、左右に大きく割り広げる。
「嫌、何を・・・っ」
叫んだ時には秘めた窄まりに触れられていた。
「あ、あ、ああ・・・」
初めて覚える感覚に、びくびくと体が反応する。
気持いい?」
「や、離して、太乙様ぁ」
泣きじゃくる楊ゼンの頭を玉鼎が持ち上げ、膝の上に乗せた。髪を梳かれて自然に恍惚
となってしまう。大好きな師の近くにいれるのだ。
「私を満たしてくれるか?」
「・・・?」
意味はわからなかったが、満たすとは飢えるのと逆の意、多分師にとって幸せに繋がる
事だろうと感じて楊ゼンは頷いた。
「良い子だ」
玉鼎の言葉の間止められていた指の動きが再開された。さらに深く太乙は進み、遂には
固い入口を割ってしまう。
「痛・・・っ」
堪える為に楊ゼンが唇を噛み締めようとすると、すかさず玉鼎は阻んだ。
「傷がついたらどうする」
「でも、でもっ!」
ぐぐっと根元まで指を咥えさせられて、楊ゼンが背を大きく撓らせた。
「呼吸を止めるな。逆に何時もより大きくだ。痛みが和らぐ。おまえは初めてだ。痛くて
当然なのだから」
体の上と下に与えられる物はあまりにも違いながら、どちらも激しく神経に切り込んでくる
ようで、楊ゼンは酷く困惑した。

後一回くらい続きます。何故こんなに長くなってしまったのかな。