這わされた膝は、長く体を支えているせいで力を失い、がくがく震えていた。
頭はシーツから上げる事を許されず、肩をつき、腰だけが高く天を突く。
恥ずかしくて堪らないのに、あえてこの姿勢を取らされる。
弄られ、嬲られて反応しかける度に、背は押され、上体が起きかけるのを遮
られた。
「んんん・・・っ」
双丘の狭間に熱い舌が触れていた。
ぴちゃ、と耳を覆いたくなるほどの濡れた音。
流れる黒髪までもが、楊ゼンの腿を撫で摩って愛撫する。
「や、もうやだ・・・止め・・・」
「こんなに固いのにか?」
抉じ開けるように尖らされた舌が入口を突いた。
「はあ、んっ!」
背が大きく反り返った。
「恥ずかしい、です・・・」
「今さら何を」
含み笑いが聴こえ、ますます楊ゼンは居たたまれない思いを味わった。
「こんなでは、私まで痛い。受け入れるおまえはもっとだろうな。幾度も抱いて
やっているのに、何時までも慣れぬおまえが悪い」
「そんな・・・」
シーツを掴む手に力が入った。
玉鼎が欲しくて、金霞洞に戻ったのは楊ゼン自身。封神計画を手伝うよう任を受けて
下界に降りても、こうして時折楊ゼンは抜け出して戻ってきていた。
抱かれる為に。
それなのに、間を開けると体は意思と関係なく受け入れる事を忘れてしまうようで、
凄まじい痛みを与えられてしまう。
楊ゼンが欲しがれば、師は抱いてくれる。何も問わずにただ、優しく、激しく。
「師匠ぉ・・・」
漏れるのは哀願。
「おまえが、抱かれたいのだ」
「では師匠は・・・」
彼には楊ゼンを抱く理由が他にはないのだろうか。
ふと哀しみを覚えた。
玉鼎が楊ゼンのものだけでない事など、充分承知していて、それでも求めたのだから。
今、こうして楊ゼンを抱く腕で、他の男を愛撫する事を。
肩口で切り揃えられた髪を揺らす、華奢な仙の姿が脳裏に浮かんだ。
「どうやら他の事を考えられるほど、余裕があるようだ」
冷たい師の言葉が聞こえた。
「私が手ぬるいのか、おまえにその気がないのか、どちらだろうな」
瞬間、指がぐぐっと差し入れられた。
「ひあ・・・っ」
身体の中に潜り込んで指に、堪らず楊ゼンが腰を捻った。
覆い被さるように上体を傾けた玉鼎が、耳を噛んで忠告した。
「暴れるな。柔らかい粘膜を傷つけたくはないだろう?」
「・・・・・・ああ!」
指が体に入るのも初めてではない。しかし、楊ゼンは鳥肌を立てて、びくびく背を震わせた。
玉鼎がそんな楊ゼンの背を撫ぜてやる。肌は既にしっとり汗で濡れていた。
高地にある崑崙の上に、窓も開け放してある夜である。暑いはずもない温度に体を燃え
させているのは、楊ゼン自身が発しているのに他ならなかった。
「教えたはずだ。力を抜きなさい。おまえが辛いだけだ」
「触ったり、しなくていいです・・・。早く、師匠が・・・」
首を傾げて玉鼎が笑んだ。
「おかしな事を言う。抱かれるからにはおまえも気持ちよくなりたいはずではないか」
「こんなの、ちっとも良くないです」
「まだ私はこの指で何もしていないが?」
「はうっ!」
中で指がくと折れ曲がった。
「するのはこれからだ」
「嫌・・・あ・・・」
玉鼎が指の抜き差しを始めた。擦りむけた場所をざらりと触られるような引き攣れる感覚に
楊ゼンは頭を幾度も振った。
「あ、あああ・・・」
「嫌、嫌・・・嫌・・・」
「おまえが行為の中で言うのは、嘘が多い事を知っている」
「本当に・・・」
「どうだろうな」
知り抜いている指先が、後ろから男を高ぶらせる場所を強く突いた。
「あーーー」
楊ゼンが仰け反った。下腹が変貌を遂げるのがわかる。シーツを掴んでいた手でとっさに
隠そうとしたのを、空いていた玉鼎の手が掴んだ。
「感じているだろう?」
玉鼎が微笑んだ。
「自分でしたいのか? 今なら許してやっても良いが」
精を楊ゼンが知った時から、自身で慰める事を玉鼎は禁じていたから。
「違う・・・っ」
指で秘所を嬲りながら、玉鼎は小ぶりな高ぶりを握り締めた。
搾り立てるように圧搾し、掌に力を入れていく。支えかねている下肢は、含ませた指で肉を
抉って腰が落ちるのを妨げていた。
切ない果実は、内部を弄られ、前を扱かれる度に、ひくひく震えて蜜を溢れさせた。
「もう・・・っ」
楊ゼンの声が悲痛さを帯びた。
「構わない、達きたいなら達きなさい」
強く扱かれた楊ゼンが悲鳴した。
「あああっ」
熱い迸りを手に受けた玉鼎が、脱力する楊ゼンに囁いた。
「まだ夜は長い。おまえが何を思っているか、充分に聞く時間はある・・・。口が使えぬのなら、
その体に尋ねる事も・・・な」
楊ゼンの青い瞳が怖れに揺れた。

続きます・・・

鬼畜師匠復活です(汗)
それにしてもこのタイトル何だろう・・・