「く・・・あああっ」
穿たれた衝撃はきつかった。舌で舐め解され、指で慣らされてはいても、本来
男を受け入れる場所ではない以上、自身から濡れる事もなく、入り込む異物を
拒む。
その抵抗を楽しむように、半ばまで貫いてからは、ことさらゆっくりと玉鼎は腰を
進めた。
「痛っ、いたあ・・・い・・・」
慎ましい楊ゼンの秘所は限界まで引き伸ばされ、わずかに裂けもしていた。
ピンクの花びらを内側から溶かした色に染まる体に、血の赤は映えた。
シーツに顔を押し付け、楊ゼンは痛みにすすり泣いた。
根元まで咥えさせ、熱く絡みつく肉を味わいながら、玉鼎は汗で皮膚に張り付く
楊ゼンの髪に触れた。
「え・・・っ、えっ、ひ・・・っく・・・」
長い睫毛に縁取られた瞳は伏せられていて、見事なブルーを隠していた。瞼が
震える度に閉じられたあわいから、涙が滴り落ちた。
「ここに来なければ、この痛みからは逃れられる。おまえは仙を名乗るに相応しい
力を既に得ているはずだ。あえて何時までも私の弟子でいる必要はあるまい?」
玉鼎が薄く笑んだ。
「私の愛撫を受けて他の事を考えるくらいだ」
ぴくりと楊ゼンが反応した。受け入れる肉が蠢き、戸惑いを伝えてくる。
「し、師匠・・・、あ、ああっ」
突き上げられて紡ぎかけた言葉が途切れた。広げられるのは痛みでしかなかった。
酷く抱いてくる玉鼎が怖くて・・・堪らない。
そして、悲しみ。
自分だけを見ていてほしい。幼い頃にように何時も側にいてほしい。
楊ゼンが玉鼎の元を離れてしまえば、彼は今まで育てた弟子の一人として楊ゼンを
記憶の底に沈め、新たな者を道府に迎えるのだろうか。
それとも、楊ゼンの知らない昔から側にさりげなく存在する太乙との時を過ごすのか。
仙になる資格はある・・・即ち、金霞洞を出て行け・・・。
永遠は楊ゼンには与えられないのか、太乙のように!
鋭い痛みが思考を妨げた。痛覚だけがどんどん鋭敏になって、頭脳全てがそれで
満たされていく。
背を駆け上り、きりきりと苛んでくる苦しみ。
玉鼎の手が楊ゼンの体にまわされた。がっしりと支えられ、引き起こされる。座した
膝へと導かれ、穿たれる深さが増した。
「−−−っ!」
大きく反り返るのは、抱きしめる腕が封じた。倒れてしまうのは防がれたが、それで
苦しみが和らぐかずもなかった。
「止め・・・てっ」
涙の雫が打ち振られた顔から飛び散った。
「あああっ、痛・・・」
「だがそれだけではなくなってきてはいないか?」
すっと玉鼎が指を滑らせ、両足の付け根に降りた。
「ひあっ、んんんっ」
先程放出したばかりだというのに、そこはまたしても兆していた。きつく握り締めて
熱を確かめ、濡れた先端をざらりと擦る。
「や・・・っ」
「・・・嘘つきな子供だ」
玉鼎が耳朶を噛んだ。
「私はそれを知っていると言っただろう?」
耳に舌が差し込まれる。
「ああ、あ・・・」
「おまえは何を望む?」
囁かれた。
「−−−楊ゼン」55
他の誰も、このように心が痺れる声で呼んではくれない。心臓がきゅっと掴まれる
ような切なさ。
楊ゼンは声の呪縛から悦楽に捕らわれかけて頭を振った。悦楽。痛みがいつしか
すり替ろうとしている。
「もっと責められたいか?」
驚きに青い瞳が見開かれた。楊ゼンの心の動きを察知したかのような苦笑混じりの
問いかけだったから。
否定を返すより早く、腿の下に潜った手が、楊ゼンを持ち上げてきた。貫くモノが抜ける
ほど高く掲げられた瞬間、ふっと支える力が失われた。
「あああ−−っ!!」
最奥まで再び一息に飲み込まされる。粘膜を激しく擦られて、悲痛な叫びが迸った。
「いやあっ!」
今一度体を上げられかけて、楊ゼンは見を捩って抵抗した。その為に挿れられたモノに
余計に苦しめられる事となる。
「無駄な事を」
持ち上げられる・・・高く・・・高く。
「ううっ、ああ!・・・うっ、く」
落とされた刺激で楊ゼンは弾け、身を保つ事すら出来なくなって玉鼎にしなだれた。
「もう、赦して・・・」
「では言いなさい」
胸を抱き、つんと立ち上がった乳首を指で挟んで嬲る。あっあっと小さく鳴きながら、
楊ゼンは涙を流した。
「師匠と、一緒に、いたい・・・だけ、なのにっ」
「おまえを拒む何物もここには存在しない。わかっているとは思うが」
「でも・・・っ」
玉鼎は拒まない。しかし、独り占めも出来ない。
「もっと側に・・・師匠・・・」
「・・・捕えてやろうか?」
爪先が悪戯に先端を引っ掻いた。
「ああっ、あ、んっ」
ぶるぶる楊ゼンが震えた。捕えるという言葉で体が痺れた。
「地上にも戻さず、風のそよぎ、季節の移り変わりも知らぬほど、秘められた場所に」
「ひっ!!」
力なく項垂れていたモノが包まれた。
「私がおまえを外に出し、捨てようとしていた独占欲を、解放させるのか」
「・・・え?」
師もなのか。彼もまた・・・。
峰を渡る風が高みより吹き降りてくるような喜びが楊ゼンに満ちた。
再び這わされ、きつく責められ出しても、嬉しさは去らなかった。
どのような形であれ一番側にいたかった。
「はい・・・そうして、下さい・・・」
捕らわれて所有されても構わなかった。

これも一応ハッピーエンド?