玉鼎は杯を傾けた。熱い酒が喉を通り、体をじんわり温める。
      初冬の季節、今年作られたばかりの酒である。
     「師匠、お寒くありませんか?」
      棗の実を盛った皿を楊ゼンは運び、玉鼎の傍らに置いた。
     「沙州産のだな」
     「はい。海より遠い地方に実る棗が一番切ない味がしますね」
     「西域産のよりも・・・」
     「そう、です」
      玉鼎が砂色の果実を一つ摘んだ。
     「おまえも座りなさい」
     「え・・・でも・・・」
     「独りで飲むのは味気ない」
      少し離れて遠慮がちに楊ゼンが膝をつこうとしたので、強引に手を取り、引き寄せる。 
     「師匠!」
      胡座を組んだ玉鼎の膝の上に座れされて楊ゼンがもがいた。
     「じっとしなさい」
      指が襟元を寛げる。
     「や・・・」
      侵入されて、胸に咲く赤い突起を弄られた。
     「棗などより、肴はおまえの方が良い」
      口に杯が宛がわれ、楊ゼンは首を振った。
     「どうした?」
     「僕、お酒は・・・」
     「子供だからという言い訳は聞かぬぞ」
      言葉に詰まった楊ゼンの顎をついと支え、唇を開かせると、玉鼎は酒を流し込んだ。
     「う・・・ごほっ」
      むせるのにも構わず、杯が空になるまで無理に含ませてしまう。アルコールはさほど 
    強くはないとはいえ、味わえるような状態ではなかった。
      目じりに涙を浮かべて、楊ゼンは玉鼎を見上げた。
     「今宵は月が見事だ」
      天空に掛かるのは満ち始めたばかりの月。青白く光を放っている。
      摘まれたままの乳首が、二本の指で擦りあわされた。
     「は・・・あ・・・」
      玉鼎を知る体はすぐに反応を示した。
      しこるように硬く立ち上がるのを確かめ、玉鼎が意地悪く言う。
     「少し触れてやっただけでこんなになって・・・、おまえは淫らな子だ」
     「違・・・っ」
      酒のせいだけではない朱に楊ゼンは染まった。
     「何が違うのだ?」
      吐息が耳にかかり、すぐ後ろにある柔らかい窪みに接吻されて、楊ゼンは震えた。
     「はあ・・んん・・・」
     「淫らで・・・悪い子だ」
      くくっと笑みが聞こえた。
     「止めて・・・下さい・・・」
      楊ゼンをからかいながら、片手で玉鼎は器用に杯を空けている。
     「おまえは寒くないかと尋ねたな」
     「んんっ」
      玉鼎が、反らされ、傾いた頭のせいで露になった項に強く唇を押し付ける。
     「温めてくれればいい。おまえが」
      吸われた跡には赤い華が滲んだ。
     「師匠は・・・酔って・・・おられます・・・」
     「かも知れぬ」
      衿がぐいと割られ、楊ゼンの上半身は剥き出しになった。    
     「あ・・・っ」
      後ろ抱きに回された腕から逃れようと、苦しい体勢になるのを承知で楊ゼンは
    身じろぐ。
      あっさりと玉鼎は腕を解いた。楊ゼンは 力いっぱい抵抗したせいで、ふいに
    消えた腕に体のバランスを崩した。
      玉鼎が軽く背を押しただけで、ころりと床に倒れてしまう。
      座ったままで倒れたので、腰が取り残され、自然、高く掲げる獣の姿勢になった。
     「やああっ!」
      裾が捲くられ、下履きのズボンが腿の半ばまで下ろされる。
      楊ゼンの全身が湧き起こる羞恥に火照った。
     「いや、いや・・・」
     「幾度も抱いているのに、もっと艶っぽい事は言えないのか」
      晒された尻を打たれて、楊ゼンが小さく跳ねた。続けざまに二度、三度と打ち
    据えると、細い体で唯一肉付きの良い場所が赤く熱を帯びてきた。
     「あ・・・あう、あ・・・」
      打たれる度に尻肉がぶるぶる震えた。       
      楊ゼンが涙声で制止を訴え、それを玉鼎は聞き入れた。
      伏せた髪を揺らして、楊ゼンがすすり泣く。
      玉鼎の手が、脚の間に差し入れられて、楊ゼンの象に触れた。
     「ああ・・・」
      楊ゼンは仰け反った。握られたモノは痛々しいほど立ち上がってしまっている。
     「打たれて感じるのか」  
      わざと言葉で楊ゼンの羞恥を煽り、揉みしだいて高みへと追い上げていく。
      精神は拒絶しているのに、体が理性を振り切って暴走した。
      苦しくて、早く解放してしまいたい・・・。
      しかし、楊ゼンの望みは否定された。到達の寸前で指を離されたのだ。
      全身を巡る狂おしい熱を押さえるために、胸を締め付けられる気分を味わいつつ、
    呼吸を落ち着けようと努める。
     「無駄だ。落ち着くようであれば、また私が高めてやる」
      玉鼎が杯に酒を満たした。