引き摺られるように牀榻へ連れられ、幾重にも錦の布団が敷き詰められた空間に楊ゼンは投げ
出された。とっさに下肢を合わせ、恥ずべき場所を隠すのに、太乙が嘲笑する。
「無駄な事を」
膝だけを
牀榻に乗り上げ、楊ゼンの足に手を掛ける。
「や・・・っ」
「すぐに何もかも曝け出してしまうのに」
今までの扱いに脱力しきっていた体は、あっさり太乙に屈してしまった。大きく開かされた足に
楊ゼンが顔を背けた。
「赤くなって可愛い」
普賢が太乙の横に近づいた。
二人分に増えた視線が刺さり、楊ゼンは身を竦める。
「見ないで・・・」
見つめる事で羞恥が煽られるのを知っているから、尚更普照りはあからさまな視線を浴びせた。
がくがく震える楊ゼンに太乙が問い掛けた。
「ねえ、誰を最初に欲しい?」
顎を捕え、顔を正面に向けさせる。
「6人もいるから選り取りだろう?」
楊ゼンが激しく頭を振り、身を捩って太乙から逃れた。力いっぱい普賢をも突き飛ばし、牀榻から
外に降り立つ。
ざっと間合いを計って楊ゼンは戸口を窺った。脚が自分の物でないように震え、痺れていた。
それを宥め、一歩を踏み出す。
「あ・・・っ」
頭からさぁ・・・と血が降りた。貧血に視界が暗く霞んだ。
「楊ゼン!」
太乙の制止を無視し、躓きながら楊ゼンは進んだ。思考は逃げる事でいっぱいで、前方に回り込んだ
人影には気づかない。
ぐい、と抱き止められる。
「−−−・・・!!」
「ずいぶんやんちゃですねえ」
のんびりした声が耳元でした。雲中子が白衣の袖で涙を拭ってやる。
「助けて下さい!」
楊ゼンが膝を付いた。
「今日初めてお会いしたあなた迄・・・抱かれるなんて・・・そんな事・・・」
困惑が雲中子に浮かぶ。
「どうしましうか・・・太乙」
「勿論、否だよ」
「だそうですが。まあ私をしても」
雲中子も背を屈め、楊ゼンの背を指で伝い降りた。
「ひ・・・っ」
行き着いた先に指はつぷっと潜った。
「おや、もう薬が効いていますか? それとも君の回復力でしょうか。私が投与した物がどれほど効果が
あつのか、確かめてみたいですね」
楊ゼンを立たせ、背を押しやる。
牀榻に戻りなさい」
「嫌だっ!」
「ほら行くさ」
天化が腕を取った。
「太乙様、俺っちがしてもいいさ? この顔見たらぞくぞくきた」
「構わないよ。誰が先でも。連れておいで」
「離せ・・・! や・・・」
「それこそ嫌さ」
スポーツで鍛えられた天化は力強く、あえなく酔うゼンは牀榻に戻された。
「前から? 後ろから?」
「ん−−−後ろからやるさ」
太乙が膝の上に楊ゼンの頭を乗せた。蒼い髪を梳き、顔を伏せさせる事で視界を奪う。
「うぅ・・・、えっ、えっ、・・・あ・・・」
「あまり泣くんじゃないよ」
すすり泣く背を軽く叩いて太乙は宥める。下肢が上げられ、膝を付かされた時に楊ゼンが強張ってもそれは
続けられた。
「これを最初に使いなさい、天化君」
薄黄色に光る香油を普賢が渡した。
「オレンジを混ぜてあるから、楊ゼンの熱で温められてとても良い香りがするはずだよ。たっぷり指に
掬って・・・そう・・・」
「あ・・・や・・・」
「君がやらないと辛くなるんだけど?」
くすくす笑って普賢が双丘を天化がしやすいよう、寛げた。
「薬による抵抗がどれほどのものか興味ありますねえ」
道徳とともに牀榻の壁にもたれていた雲中子が身を乗り出した。
「思いませんか?道徳」
「天化、こちらに見えるようにやれ」
手にした酒盃を道徳は掲げた。
「わかったさ」
「いえ。私の方から行きましょう。細かい動きを見る為にも」
雲中子は楊ゼンの近くに移り、天化が香油を塗りこめるのを眺めた。
「それくらいで良いはずですよ。次は君にも絡めて挿れなさい」
合わせるように普賢は広げていた指を離した。76
全てを拒み、逃れる為か、あちこちに力の入る楊ゼンの体をさりげなく、しかし決して抵抗を許さず、
太乙が押さえていた。
「天化が膝立ちになった。
「ひっ、あああっ!!!」
瞬間、楊ゼンの背が弓なりに反り返った。目を塞がれていても尚、白い火花が散るのが見えた。
「痛いっ! 痛いいっっ!」
「すっごい締めつけだ」
顔を天化は顰めた。腰を動かそうとしても、内肉が食いついてきてままならない。
無理に揺すられる度に楊ゼンから悲痛な声が漏れた。
「力抜いて。今からそんなじゃ大変だよ。後は長いからね」
普賢いが背を撫ぜた。
「師匠、俺も触っていいですか?」
「ああいいとも」
木タクの手がおずおずと白い肌に触れた。しっとり汗ばみ、滑らかにすいつくきめの細かさに一度
驚いて離れ、また指を這わす。
「ふ・・・っ」
体を震わせ、天化が果てた。萎えた杭が引き出された途端、崩れかかる楊ゼンを木タクが支えた。 

「師匠・・・」
「したい? 木タク」
「はい」
「壊れないように加減はしなさい」
ひくっと楊ゼンの喉が鳴った。
「涙で私の袍、ぐっしょりだ」
髪を掴んで顔を上向かせる。
「君は泣きすぎ」
「赦して・・・太乙様、もう・・・」
「駄目」
木タクが屹立したモノを出し、おもむろに捩じ入れた。
「−−−!」
普段纏っているプライドも、高い矜持も、全てを捨てて楊ゼンは泣き叫んだ。
「止めて! 痛い・・・ああっ、お願い・・・」
「そんなに痛いですかねえ」
雲中子がのんびり首を傾げた。
「さあ」
「木タク君、少し解してあげましょうか」
言われた木タクは、雲中子が交わる部分に顔を寄せるのをじっと見つめた。
「ひゃうっ!」
驚いたのは楊ゼンだった。大きく拡張させられ、神経が張り詰める蕾が濡れた下に舐められたのだ。
「何、な・・・あ、ああ・・・」
「この香油は舌にも優しいですね」
「毒になる物を僕は使ったりしません」
「嫌、嫌・・・」
「太乙は肩を竦めた。
「嫌という科白は聞き飽きた。せっかく挿れてもれったるのだから、別な言葉を言えば?」
「太乙師兄」
にっこり普賢が笑んだ。
「口を使わせて下さい。そうすればお喋りしたくても出来なくなる」
道服の帯を緩め、楊ゼンの鼻先に突きつける。
「舐めて、楊ゼン。口ですれば後ろに入れられる回数は減るよ?」
返事を待たずに普賢は喘いでいる赤い唇に咥えさせた。
「口淫、この子上手いね。誰の仕込みですか?」
「内緒」
太乙が後ろから楊ゼンの頬を両手で挟んだ。
「ねえ、楊ゼン」


楊ゼンは瞳を開いた。意識は浮上したのに、体は全く動かなかった。
「う・・・」
涙が目じりから流れた。
「どうしたの?」
普賢が体を起こした。
「少し外に出て風に当たる?」
「・・・」
「僕が連れて行ってあげるから」
雪降るテラスの冷たさに楊ゼンは震えた。普賢が与えてくれた上着だけではとても寒さを凌げ
なかった。それでも、熱を孕まされた身に心地よく、溜息が漏れる。
持ち出したクッションを重ねた上に楊ゼンを座らせ、普賢は鼻先をちょんと突いた。
「温かい飲み物でも持って来るね」
普賢が去ると、楊ゼンは膝に顔を埋めた。
「痛い・・・」
発した言葉はからからに掠れていた。
陵辱の跡が濃く残る体。座った腰から粘りのある液体が滲んでくるのがわかる。
楊ゼンは涙した。
「また泣いている」
普賢ではない声がした。
肩口で切り揃えられた髪がふわりと揺れる。熱い蜂蜜酒を手にしたまま、太乙は楊ゼンの隣に
腰を降ろした。
「いきなり起こされたと思ったら、これを持って行けと、ね」
握らされたカップは温かかった。
「く・・うう・・・っ」
太乙が腕を回して楊ゼンを引き寄せた。

花びらに似た、雪がひとひら。

終わりですう。もう限界でした。ハードちっくではないかもしれませんが、許してやって下さい。

                                                投票所企画へ
                                                
裏小説目次へ