天化と木タクがテーブルを片付ける横で、4人の仙は話を続けていた。場所は壁際に
置かれたソファーに移り、めいめいが好きな姿で寛いでいる。
コーヒーの香りが甘く漂っていた。
「太乙様、これどうするさ」
天化がテーブルに伏したままの楊ゼンを指した。自分の上着を太乙が掛けてやって
いたが、着物を与えはしなかった。それは彼をまだ解放しないという意味である。
「一緒に洗っておいてくれるかな。クリームの匂いも赤ん坊みたいでいいけれど、一晩中
では飽きてしまう。だから念入りにね」
床に直に座っていた普賢がんっと伸びをした。
「どこを使いますか、これから」
「南の客間の牀榻がかなり広いけど」
牀榻とは、部屋に付随している一段高くなっている部分で、寝台に使われる。大抵は
馬鹿馬鹿しいほどの大きさだった。
「いいですね。全員で使える。木タク、そこのメーキングをしておいで」
「師匠は人使いが荒いです!」
「木タク」
優しげな口元がにっこり笑んだ。
「するよね?」
周囲に冷えた空気が流れた。
「怖いなあ」
太乙が背もたれにゆったり身を預けながら言う。
「けじめですよ。ただの」
「まあ必要な事だね。甘やかすと楊ゼンのように生意気になる」
「太乙だけにじゃないか? 玉鼎師兄の弟子は天才との噂しか聞かないが」
「〜〜〜道徳」
くるりと頭を回らせ、太乙は色の薄い瞳で道徳を睨んだ。
「・・・ねえ雲中子」
気まぐれな視線はすぐに逸らされた。
「薬とか今日は持ってる?」
「医療キットは何時も携帯してますねえ。何処か悪いところでも?」
「私じゃない」
雲中子の趣味を思い出して、太乙は慌てて否定した。彼の前で調子が悪いなどと
言ったら最後、何をされるかわからない。
「楊ゼンにさ。コーヒー注がして、洗浄もさせたら、いくらあの子でも緩んでいるだろう
から。私達に良いよう、きつくしてくれる?」
「ああ」
雲中子が手を打った。
「弛緩剤の逆ですね。ありますよー。ただ薬は針でその場所に入れなければなら
ないので、暴れないようにだけして下さいねえ」
「これだけ人数がいれば、全然平気」
普賢が言った時、何かが倒れる音が響いた。
「木タク達か。二人がかりでも手こずっているみたいだ」
「本当に往生際の悪い」
舌打ちをして立ち上がりかけた太乙を道徳を制した。
「弟子の不始末だ。俺が行く」
「そう言ったら、僕も行かなくてはならないかな?」
「私達は客室でいいと思うけど。たかが一人の洗浄に、何人がかりになるのも大げさ
だよ」
「私には薬室を使わせて下さいねー。先程の薬を準備して来ますので・・・」
「お好きに」
ひらひらと太乙は手を振った。


客室に連れられた時、楊ゼンの肌は既に蒼白に変じ、止まらぬ震えを回した自身の腕で
抱きしめていた。
「おいで楊ゼン」
太乙は手を差し伸べた。
怯えた瞳が訴えるように揺らぎ、首が振られた。
「もう、赦して下さい・・・」
身じろぐと、腿に体の奥から滲んだ水が伝った。
「あ・・・」
楊ゼンは狼狽してしゃがみこんだ。執拗に体の内部を洗われた名残だった。
「明日になったらね」
「朝まで、私達の相手をしてもらう。2回ずつだとして12回。それくらいなら大丈夫だろう?」
「そんな・・・っ!」
強姦され、輪姦されるという事。
驚いて楊ゼンは顔を上げた。
「上でも下でも使って、早く私達を満たすんだね。終わらせる為に。でも・・・」
太乙が普賢に視線を移した。
「普賢」
「テーブルが固くて押さえつけるには良いかと」
普賢が、楊ゼンの腕を掴んだ。
「・・・普賢様・・・」
「少しね、薬を君にあげるんだ」
上半身をテーブルに伏せさせる。
「ほら、木タクも天化君も手伝って」
弟子達に指示を与え、普賢自身は楊ゼンの双丘を寛げた。
「嫌っ!!」
6人の前に体の尤も恥ずべき部分を晒されて、楊ゼンが悲鳴した。
「はいはい。すぐ終わるから。太乙師兄、言われた通り、ここ、閉じきっていませんね」
普賢が秘裂を上下に擦った。
「ひい・・・っ」
楊ゼンの喉がひくりと鳴った。
「雲中子、やって」
「わかりました」
アルコールを含ませた脱脂綿で蕾を拭われ、楊ゼンはその冷たさに痙攣した。
「消毒ですからねー。我慢して下さい」
押さえられている楊ゼンには背後を窺われない。雲中子が、注射器を取り出した事も。
「では・・・」
周囲に促し、同時に押さえる力が強まった。
「何・・な・・・、あっ、ああ−−−−!!!」
針が突き刺さった。
「痛い、痛い、痛いぃっ」
緩んでいる場所を探るように、針は刺されたまま、皮膚の中を動かされた。薄いそこは、
内部の針をくっきり透かしている。
「止め、って・・・」
幾度も抜かれては刺し直され、その度に楊ゼンが苦痛を訴えた。逃れる為に力の入る体は
上回る力によって封じられた。
「・・・終わりましたよ。効果は即効ですから、待つ事もそんなには必要ないでしょう」
「いっぱい痛かった?」
太乙が涙を拭った。
「これからは君も楽しんだらいい。今の薬で、君はきつくなったから、たくさん締め上げて
楽しめる・・・きっと」
涙する横顔から、瞳が絶望に伏せられた。
「じゃあ、牀榻に行こうか」

まだ後一回続きます。

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