して広くはないのに、常は人気がなく寒々としている金光洞が、今日はにわかに
明るくなっていた。
壁にはまだ夕刻だというのに、ふんだんに燭が灯され、窓の覆いが外され、差し込む
弱い冬の日までが華やかさを帯びたようだ。
「太乙師兄、飾る花は赤でいいですか?」
木タクに花切鋏を渡しながら普賢は言った。
「うーん、私の所はあまり花ないなあ。でもが青いから赤とかピンクの方がいいよね。
温室に冬バラがあるよ」
「木タク、赤とピンク・・・黄もあったら持っておいで。部屋いっぱいになるように」
「はい、師匠」
「僕はテーブルセッティングしとくから」
太乙は椅子に腰掛けた。
「君も私が呼んだ客なのに手伝わせて悪いね」
「いえ」
ふふ、と普賢が笑った。細い指が、真っ白なテーブルクロスの皺を注意深く伸ばして上に
皿とカップを並べていく。
「中心はもっと空けないと。は大きいよ」
「今日は何人来られるのですか? 師兄」
「君達師弟の他に、医者一名、道徳師弟の三人だよ」
「あはは、医者! 確かに必要そうですね」
普賢は笑い上戸である。体を折るように笑う彼に、太乙はカップ類を落としはしないかと
心配した。
「さて、私はパイとコーヒーの準備をしてくる」
くるりと普賢が振り返った。
「師兄がお茶会を開かれるなんて初めてですね。・・・尤も僕が呼ばれたのが初めてなの
かもしれないですが。楽しみです。
木タクが戻って来たみたいなので、僕はここに」
「君のセンスに任せるよ」
太乙の領巾が翻る。
の用意はしなくてもまだ大丈夫ですか?」
「そろそろかも。運ぶのは手伝ってくれる?」
「喜んで。僕の宝貝を使ったら早いです」
普賢が走り寄った。線の細い二人が並ぶと、纏う雰囲気はかなり違うものの、何処か共通
点が伺えた。
「頼む」
「ええ」


後の三人は連れ立ってやって来た。
「太乙の道府がこんなに明るいのは初めてだ」
周囲を道徳は見渡した。明るいのに何故、暗い陰を感じるのか不思議に思いながら。
「何をしている。天化、入って来なさい」
「でも・・・っ」
入口で控えたまま、天化は足を止めていた。室内は高位の十二仙のみ。道士の称号すら
持たぬ天化は同席する事に萎縮していた。
「僕達だけじゃないよ。木タクもいる」
普賢が気づいて声をかけ、天化を招いた。
「席に座って」
ホストらしく太乙は動き回り、パイの乗った皿を運んだ。
「私が作った物ばかりだから、口に合うかわからないけど、今日は飲んで喋ってそれから・・・
ともかく朝まで楽しく過ごそう」
「・・・ところで太乙」
とんとんと指で雲中子がテーブルを叩いた。
「この大きな覆いは何です? 天井から垂れていますねえ。それに動いているように私には
思えますが」
なんだ」
怪しく太乙は笑み、白い布を取り除いた。
これは・・・」
中身を知っている普賢を覗く四人が驚きに言葉を失った。
空を映す蒼い髪がテーブルに広がる。青い瞳は涙に濡れ、衣服を纏わぬ体は幾重にも縛め
られている上に、下肢だけが吊られていた。
「金霞洞の楊ゼン、でしたか。確か・・・」
「うん、そう」
「何故こんな事に?」
パイを切り分ける為に皿へと身を乗り出した太乙がにっこり笑った。
「この子はね、私が作ってやった宝貝を壊したんだ。だから罰を与えてる」
楊ゼンを動かし、雲中子に臀部を見せる。
「止、止めて・・・」
弱々しい抗議が上がり、自由のない身体が揺れた。
「煩い」
ぴしゃりと太乙が尻を打つ。
「ああうっ」
既に多くの打ちゃくが与えられているそこは、赤く腫れて熱を持っていた。
「なるほど。で、彼がテーブルにいる役目は?」
「体、すごく熱いんだ。コーヒーを温められるくらい」
視線を向けると、普賢がわかったと頷いた。
「木タク、そのチューブ取ってくれる?」
普賢は先端にノズルのついたチューブを受け取り、大きなピストンに繋いでから太乙に渡した。
「500ccを四回。2リットルもあれば私達6人が飲むには充分だよね」
ポットに満たしていたコーヒーを太乙は吸い上げた。
「天化君、木タク君も手伝って欲しいんだけど」
「師匠! 俺っち・・・」
天化が道徳を見上げた。
「行け。まさか自分達が何もせず十二仙を働かせるわけにはいかないだろう?」
同じく促された木タクと共に、天化は楊ゼンが動かないよう支えた。触れた肌は白く、
思わずまじまじと凝視してしまう。
十二仙を師に持ち、修行中の身である、楊ゼン、天化、木タクは同位にある。しかし、今日初めて
出会った楊ゼンは彼らとはどこか違うような気がした。
惨めな姿を晒していても、心惹かれる物がある・・・。
ふいに逸らされていた楊ゼンの瞳がかっと見開かれた。
「嫌! 嫌だ! 触れないで! 入れないで・・・っ!!!」
普賢が双丘を開き、狭間に息づく蕾に太乙がノズルを突き刺したのだ。
押さえる天化も苦労を要するほど、楊ゼンは身を捩って暴れた。横にいる木タクが苛立ったのか
声を荒げる。
「多人数相手に敵うわけないのに、何で暴れるんだ!」
「楊ゼンさんは悪い事をしたんだろう? だったら仕方ないさ」
「おやおや」
太乙は肩を竦めた。
「道徳も普賢もきちんと弟子を育てているね。物の道理を知っている」
ピストンがゆっくり押され、注入が開始された。
「ひっ、ああ−−−っ」
ガクンガクンと楊ゼンが跳ねる。
「冷た・・・冷たい!」
「だったら君が温めるんだ」
一本目が空になり、新たな物に太乙は付け替えた。
「雲中子か道徳やらない? 四本あるから、一つずつまわる」
「俺達には?」
「子供は後片付けの時に働いてもらうよ」
普賢が天化の鼻を摘んだ。
「じゃあ俺にくれ、太乙」
「どうぞ」
すいと道徳は顔を楊ゼンに近づけた。
「君とは数えるほどしか会っていないけど、そんなに悪い子なのかい?」
「違・・・」
楊ゼンが首を振った。
「でも、太乙は君を怒っているが?」
無骨な指がノズルを含まされている入口をなぞった。
「ひあっ」
伸ばされて敏感になっている場所への刺激は辛すぎた。楊ゼンが嗚咽しか漏らさなくなったので、
道徳は体を起こした。

雲中子、普賢と四人が入れ終える頃には楊ゼンの腹は大きく膨らみきっていた。
「コーヒーはクリーム入りだから泡立てないと」
太乙はノズルを引き抜くタイミングと合わせて、宛がった張型を埋めた。
「くううっ」
「動くのですか?」
理系の師を持つ木タクが興味深々で尋ねた。
「そうだよ」
楊ゼンから覗いている物に、太乙は軽く触れた。虫の羽音に似た音が起こる。
「あ、ああああ!!」
連動して楊ゼンが悶え始めた。彼を吊るした紐がぎしぎし軋む。
「や、ああ・・・んんんっ、あーっ」
「しっかり攪拌するんだ。君は弄られるのが好きなのだから。体をもっと熱くして、いっぱい温め
なさい」
「あーあ、この子の涙腺は枯れる事を知らないみたいだ」
普賢が涙を拭ってやった。
「夜になったらたくさん愛してあげるね」
「君だけじゃないだろう?」
「み・ん・な・で」
ペロリと普賢は舌を出した。
「・・・おもしろい」
頬杖をついていた雲中子が瞳を眇めた。
「太乙が覆いを取り去った時にはすっかり萎縮していたのに」
フォークの先が、淡い茂みから立ち上がっている楊ゼンを突いた。
「ひっ!」
チクリとする痛みに吊られた下肢が跳ねた。
「さっき言ったけど・・・」
太乙が天井から下がる紐に手を掛けた。
「楊ゼンは苛められて感じるんだ。嫌がってはいても、深層心理でね。こんな事をしても厳密には
罰になったりはしない」
吊られる事から解放された楊ゼンが、テ−ブルに崩れ、横腹を打ち付ける。
「ああうっ、く、苦しい・・・」
もがく体を普賢が手荒く転がした。
「ほら、起きて。皆のカップにコーヒーを注ぐんだ」
「動かさないで、出てしまうっ」
必死に訴えるのに、幾人かが苦笑した。
「入り口
塞いであるのに? さっさとしゃがむんだね」
髪を掴んで無理に引き上げ、望む姿勢に楊ゼンを導いていく。
「あ。。。うっうっうっ・・・」
泣いても助けはどこからもなく、上半身を未だ縛められていては、涙する顔を隠す事も出来ない。
せめてもと、楊ゼンは俯いた。
その下を向いた視界に、最初のカップが近づくのが映った。
「はしたなく漏らしたりしたら許さないよ」
太乙が乳首をきつく捩る。
「適量を出して、止めて、皆に給仕をするんだ。
お待たせ。飲み物も出来たし、ティ−タイムを始めようか」

燭明かりが眩しく部屋を照らした。


で、続きます。これではテーマの強●を全然クリアしていませんので。
無事そこまで行けるかなあ。このTea Timeからして、予定してたよりとても長くなってしまっているのです。


                                                         投票所企画へ
                                                         裏小説目次へ