押し当てられた物が何かはすぐにわからなかった。
固い入り口を割られ、異物を挿れられるという事に頭がいっぱいになったせいだ。
「や、止め、友雅っ!」
思わず顔を上げると叱責が飛んだ。友雅への奉仕が止まった事を責められても、泰明が
従わないでいると、切ないほどに封じられているモノに爪先が食い込まされた。
「い・・・っ」
「これは君へのご褒美だと言ったはずだ」
「ああ・・・」
顰められていた泰明の目元がふるりと震えた。
硬質な感触。
それは、異物でしかない。
友雅が手首を返し、ぐぐっと力を込めた。小さな裂け目でしかない泰明の秘所は、理不尽な
圧迫に反発して窄まった。
意思とは関係ない体の反応だ。しかし、入ってこようとする物を排除出来れば良いが、それが
叶わなかった時には痛みを倍増しにさせる。
「いあ、や、ぁっ」
皮膚が引き攣れて泰明が苦鳴した。必死に抵抗しているが、友雅に敵わない事などわかって
いる。すぐに屈服して受け入れさせられだけに、その前に翻意させたかった。
首を振り、大きく泰明の背が撓った瞬間、それが襞をいびつに歪ませて粘膜の中に飲み込ま
れた。
「く・・・ああっ」
下肢から裂ける激痛に泰明が硬直した。
尋常ではない痛みだった。
これまで幾度も友雅を受け入れたが、以上の、味わった事もない痛みだ。
笏は平たいが、その分幅があり、長い。横に引き伸ばされたそこが早くも限界を迎え、うっすら
朱を滲ませている。
含ませてしまえば、奥深くまで捻じ入れるのは簡単だった。
泰明の叫びと合間から漏れる嗚咽を聞きながら、友雅はさらに手にした物を突き立てた。
半ばまで強引に咥えさせ、垂れる事のない尻尾のようにつんと泰明から出ている先を弾けば、
直に響く振動に華奢な体は悶えた。
「これで、達かせてあげよう」
「無理だ、馬、鹿な事、を・・・」
それだけの言葉を紡ぐのにも息は上がり、切れ切れだった。
「そうかな?」
痛ましく小さな痙攣を繰り返す粘膜に友雅が触れた。
「は・・・・」
「咥える事に君のここは喜んでいる」
「違うっ!!」
叫んだ事によって、体が固くなり増した苦痛に泰明が顔を歪めた。
「友雅、嫌だ・・・こんな・・・」
挿れられている物に必死に伸ばした手は、あえなく払われた。
「何をしている?」
反抗への返礼はは、さらに深く挿入される事だった。滲んでいたにすぎない裂傷が、ついに一筋、
緋の雫を零した。
泰明の下肢を引き寄せた友雅がそれを舐め取った。
「んん・・・」
痛みの中にふいに起こったくすぐったさに似た感触に泰明は呻く。
柔らかな舌による刺激は一瞬だけではなく、間断と続いた。濡れた温かさは離れると、外気の冷たさ
に変わる。
ひどい仕打ちを受け止めていたそこに与えられる甘い愛撫は、泰明を陥落させるのには十分だった。
唇の動きは止めないまま、友雅が泰明の中を抉った。
「・・・・・・!!」
甘さと、痛み。繰り返される。
「あ、あ、あ・・・」
泰明は涙に崩れた。


友雅の指が汗で張り付いた髪を掻き上げた。
少しでも柔らかく体を横たえられるよう、多くの布を敷き詰めた褥の上に泰明は突っ伏していた。
赤い色を吸った笏は既に片付けられている。しかし、体は痛みを覚えているのか、時折小さな嗚咽と
ともに泰明が震えた。
友雅と過ごす夜は、多くの負担を強いる。
理由もなく手酷く扱ってしまいたくなる衝動を友雅自身、抑えきる事が出来ないのだ。
優しく抱くよりも、涙させ、叫ばせたい。
泰明は、そう思わせる。
そして泰明もまた、これだけの扱いを受けておきながらも、この場所を訪れる事を止めないのだ・・・。
一度も強いた事がないのにも関わらず。
「どうしたものか」
呟いた友雅の頬にふいに冷たい手が触れた。
「起きていたのかい?」
「・・・悪いか?」
「いや、君も強くなったと思って。去年の夏の君だと、半日は目覚めないはずだが」
「何事も変わるものだ」
その返答がおかしくて、友雅に笑みが浮かんだ。
「確かに変わった」
泰明の横に手をついて、上から覗き込む。
「今日はしないのか?」
「ん?」
「おまえは・・・まだ・・・」
言う事が辛いのか、泰明は唇を噛んだ。
「そうだね。ここでは私を満たしてくれなかった事だ」
指で濡れた口元を辿ると、、熱い吐息が絡められた。
「友雅・・・」
泰明の腕が背に回されたのを合図に、友雅が細い脚を抱え上げた。

蒼氷、第2回目です。作者コメント特になし(笑) 泰明の内面を書いてみたいとは
思います。