カタン、カタンと音がしていた。
泉水が部屋に広げていた人形を箱に片付けているのだ。繊細な陶器の肌が硬質に
鳴っている。
その数え切れないほどの多さに、呆れた溜め息を泰継が漏らした。
「こんな物を愛でてどうする」
「可愛らしいとは思いませんか?」
ついと首を傾げ、泉水は一体を取り上げた。
「少し似ていますね」
珍しく薄い髪を持った人形だった。
「止めろ。私にはわからぬ」
「そう・・・ですか」
残念そうに俯いた泉水が泰継に似ていると言ったそれを桐箱にしまった。
「人形遊びは楽しい物ですよ」
ふっと顔を上げ、うっすら笑みを刻む。
場の空気が変わった事を泰継は感じ取った。泉水が、変わったのだ。
「私を招いたのは、おまえの遊びとかを見せる為か?」
言い知れない不快感にちりちりする背筋を取り繕うように泰継が尋ねた。
「はい。あ・・・いえ、お見せするのではなく、泰継殿で」
「何・・・?」
膝を立てた泉水が泰継の背後に回った。振り帰るより早く細い腕が取られる。
「華奢ですね。北山の深い木々の森で陽に当たった事などないように、色も白い」
「離、せ」
拒絶を紡ぎかけた唇を封じるように後ろから泉水が肩越しに顔を近づける。
「駄目ですよ」
とろんと甘い囁きが吹き込まれた。
「あ・・・」
体を泰継が震わせた途端、手首に鋭い痛みが走った。
桐箱を封じる細い紐がぎりぎりと食い込んでいる。
「さあもう片方の手もお貸し下さい。ともに縛って差し上げましょう。・・・どうしてよい
かわからないような感じですね」
外界との関わりを絶ってきた泰継だ。人のふいの行動には戸惑いばかりだった。
泰継が逡巡している間に泉水は自ら腕を捕らえ、拘束してしまった。
「まずは着物を脱ぎましょうか。新しい人形は汚れがないか確認しなければなりま
せんから」
泉水の手が襟の立った長い衣の止め具を外し始めると、ようやく泰継に抵抗が
起こった。
「止めろ、何をしている」
あまりに遅まきな言いように思わず泉水は苦笑してしまった。
「制止を言ってももう無駄ですよ」
それでも、と泉水は少し考え、泰継の手首に余った紐をくるりと細い首に掛けた。
「下手に動かれると首が締まります」
背の半ばまで引き上げられた腕が軋んだ。しかし、手を伸ばし楽になろうとすれば
容赦なく紐は首に食い込んでくる。
「ぐ・・・」
「じっとしていて下さいね」
下の単まで肌蹴させてしまった泉水の指が滑らかな肌を滑った。
「・・・っ」
「人に触れられるのは初めてですか?」
「当たり前だ、こんな事・・・誰が・・・」
「私が初めてとは嬉しい限りです」
泉水の指がなだらかな胸に咲く小さな紅を摘み上げた。
「は、あっ!」
きつく捻られて泰継が苦痛にうめく。爪先で引っ掻かれてそこが存在を主張し始めた。
「胸を弄られただけであまり感じられても困るのですが・・・」
「感じる・・・?」
「泰継殿の今の状態ですよ」
嬲られて疼く乳首を泉水が舐めた。
「−−−・・・!!」
びくびく撓る背を体重を掛けて押し倒し、残された下肢を覆う着物の裾を乱した。
後ろ手に敷かれた手が痛んだ。
「嫌だ、そこは・・・」
「全て見たいのです」
暴れる脚を強引に割り広げ、間に体を入れた泉水が裾を捲った。
「ずいぶんときれいですね。触れられた事もないのであれば、使用した事もないのです
から、当然でしょうか」
言われている事がわかった泰継の全身がかっと朱を帯びた。
「泰継殿は心も身体もとても無垢ですね」
小ぶりな泰継を掌に収め、そっと唇を寄せる。
「何をされるかおわかにならないから・・・怯えて・・・固い体は締まりもきっと良いでしょう」
声が上擦るのを泉水は抑えられなかった。
「泉水・・・」
「染み一つないきれいな体ですね。どうしたらこのようになるのでしょうか」
泰継の秘密を知らない泉水はついと首を傾げた。
「おまえが、わからない・・・」
「一度抱いてみたかったのです。私の事はこれからわかって下さい」
不安気に曇る顔を見やり、頬を優しく包み込む。
「さあ、力を抜いて・・・」
泉水は汗の滲んだ額に接吻し、諭しながら両脚を抱え、膝が胸につくほど折り曲げさせた。
「・・・泰継殿の為ですから」
貫かれた瞬間、泰継の瞳が張り裂けるばかりに見開かれた。
悲鳴を紡ぎかけた唇はあまりの激痛にそれすら行えず、戦慄くばかりだった。今まで経験
した事もない、体を真っ二つに裂かれてしまうような痛みが、穿たれた部分から背を駆け上がり
脳に突き刺さる。
「う、あ・・・あ・・・」
「部屋に満ちる人形のように・・・可愛いらしいですね・・・」
くっと身を屈めた泉水が泰継を抱きしめた。

































永泉2号にしても仕方がないので、泉水は実際に泰継を抱く人にしてみました。
ゲームを見ても永泉よりは泉水の方が強そうな感じもしますから。
アンケートの結果は、泉水×泰継が1位、翡翠×泰継が2位、友雅×泰明が3位
傾向は鬼畜となりました。ありがとうございました。