膝が掬い上げられた。貫かれる衝撃を意識するのか、華奢な体が震えた。
「まだ、怖いかい?」
笑みを浮かべたまま、友雅は押し入った。
「うーーっ!」
泰明が頭を振った。顔ががくんと反り、滑らかな喉元が露になる。思わず友雅は
そこに噛み付くような口付けをしていた。
「あああ・・・」
友雅の熱が体内に入り込む。ずん、とした刺激が突き抜けて、泰明が大きく
背を撓らせた。
疼いていた場所から甘い痺れが起こった。乱れた髪を宙に舞わせる。
「・・・!」
これが心地良いという事か。
痛みのはずなのに、そう知覚しない事。
咥えた肉が、蠢いて友雅を締め付けた。息を吸う度に体に力が入り、ことさら
彼を感じ、形全てを包み込む。
「友、雅・・・」
「あまりきつくしがみつかれては、私が動けなくなってしまう」
苦笑が友雅から漏れた。
それでも泰明の腕が解ける事はなかった。縋る物を無くしてしまうのが怖い
とでも思っているように。
「可愛いが、困った子だ」
白い肌に指を這わせ、強張った泰明を蕩けさせていく。
時間を掛けてゆっくり摩ってやると、荒い呼吸が、少しずつ濡れた音を含ませ
始めた。
「座ってみようか」
「何・・・?」
意味がすぐに理解出来なかった泰明が、おぼろに友雅を見つめた。左右の
色の違う煌めきが、きらりと光を放った。
友雅は泰明の背に手を差し入れると、軽々と彼を抱き起こした。着物に隠れて
いても、武人らしい逞しさがあるのがわかる。
「く・・・苦しい、友雅・・・」
自身の体重で、深く抉られる事となった泰明が悲鳴した。
「だが、痛くはないみたいだけど?」
泰明の頬を撫ぜながら友雅は言った。
「おまえには・・・わからない・・・っ」
「確かに。私は君に挿れているのだから」
友雅が泰明の高ぶりを握り締めた。掌に包むに丁度良い大きさのそれは、
貫かれながらも衰えてはいなかった。
「ひ、あああんっ」
甘い声が迸った。
「やあ・・・っ」
「だが君はもっと私に絡みついてきている」
「言わないで・・・」
泣き出しそうな表情を泰明がした。否、実際に目元には涙があった。
「泣き虫だな」
「ちが・・・」
「違う? 私のせいだとでも? 確かにそうかもしれないが、君が泣き虫では
ないという証明にはならないよ」
泰明を擦り、堪らず身悶えるのを面白そうに見つめた。
「自分で腰を振ってみるといい」
「出来ない、そんな事・・・」
「もっと快感を知るようになる。試してみるかい?」
友雅が泰明の尻に手を掛けると、引き寄せ、持ち上げてきた。唇に含み、
纏わせた唾液が、その動きを助けた。
「あっ・・・ああ・・・」
隙間なく密着した肌から、くちゅくちゅと淫らな音がして泰明を追い詰めた。
燃えるように熱い吐息をする口に軽く接吻して友雅が命じた。
「締め付けてごらん」
泰明は瞳を閉じ、腰にきゅっと力を入れた。それを見計らって、友雅は引き抜く
ばかりに泰明の臀部を持ち上げた。
「あああっ」
友雅を咥える粘膜がざわめいた。泰明がきつく友雅の背に爪を立てた。
「もう一度」
「や・・・嫌だ・・・」
「やりなさい」
囁きは優しかったが、あくまでも泰明にさせるつもりのようだった。
友雅を感じたいのに、そうしたいなら自分でせよ、と。
啜り泣きながら、泰明は命令に従った。
再び狭く縮まった秘所を友雅は強く貫いた。
「うううっ」
泰明が引きつった。しかし、うめきに含まれる苦痛の色は薄い。求めて抱か
れる事は、体の感覚まで麻痺させるようだ。
快楽さえ滲ませる響き。
友雅に揺さぶられ、切なく存在を主張する果実を弄られ、泰明は我を失った。
握る手の中、温かい雫を感じて、友雅が満足げに泰明の耳に唇を寄せた。
「愛している・・・」
それが、彼に届いたかどうかはわからない。
がくりと脱力した体が友雅にしなだれた。
「もう無理かい? ・・・でもこれから、時間を掛けて、君を仕込んであげよう」
背を抱いて、再び友雅が泰明を床に押し倒した。

Doll番外。予告通り、熱いシーンだけ(笑)