後ろに捩り上げた手に、永泉はくるくると縄をかけた。
抵抗されては、永泉の華奢な体では敵うはずもなかったが、今日の泰明は大人しくしている。
それが意外で、つい首を傾げてしまう。
月も星もない夜だった。
夜半に僅かな供だけを連れて永泉が訪れても、泰明は驚いた風ではなかった。
既に着物は全て脱がせている。
闇に輝く白い肌が惜し気もなく晒されているのだ。
「どうしてですか?」
「逆らったとて、おまえは手段を選ばず私に手を掛けるのだ」
「・・・ああ」
永泉は納得した。
泰明が大人しいのは諦めからなのだ。
だが、それではつまらない。
「早く終わらせろ」
優しげな永泉の口元が笑みを浮かべた。
「夜は長いのですから。すぐに終わるなど難しいですね」
初めて、泰明の色の違う瞳が向けられた。押さえているきつい光が見え隠れしている。そうで
なくては、と、背がぞくぞくするのを永泉は感じた。
「下手に考えている間に、どうやっても逃れられなくなってしまいましたね・・・」
上半身には幾重にも縄が回され、足は一方を天井から吊るし、片方は部屋を支える柱に繋いで
いた。
「・・・ほら」
柱の縄を絞ると、無理に泰明の脚は大きく開かれてしまった。
「このような事をして楽しいか?」
「ええ」
頬を両手で挟み、永泉が泰明に接吻した。舌先で執拗に突く事で唇を開かせ、戸惑う泰明の
舌を捕え、深く絡ませる。
唾液が溢れても、口付けは終わろうとはしなかった。
「ん・・・」
苦しげに泰明が眉間を寄せた。
「や、め・・・」
僅かの隙間から、切れ切れに泰明は制止を訴えた。
「嫌です」
ぱしりと永泉が撥ねつける。
「私はとても楽しいのですから・・・」
唾液が透明な糸となって二人を繋いだ。
身を起こした永泉は、罰だと言わんばかりに、大きく開かせた脚の間に手を滑らせて、きつく
掴んだ。
「うううっ!」
苦痛に泰明の背が反り返った。握り潰すかのように力を込めて泰明をうめかせ、苦しむ様を笑み
ながら見つめる。
「・・・おまえが・・・わからない・・・」
「でも、もう恥ずかしいという事はお知りでしょう?」
神に仕える者故か、鋭敏な永泉の感覚は、泰明の異質さに気づいていた。
永泉が長い袂から、実ったばかりの桃を取り出した。
「甘い実のなる季節になりましたね」
細い指が柔らかい果肉を弄び、次の瞬間には、ぐぐっと食い込んだ。ぽたぽたと甘い雫が、
永泉に捕らわれた下肢に落ちていく。
瞬く間に部屋は甘い香りに満たされてしまった。
「何をする!」
纏わりつくような液体に、泰明は嫌悪感を覚えた。
「お嫌いですか?」
永泉がすっと身を屈めた。
「ではきれいにして差し上げます」
「あ・・・止め・・・」
拭うように永泉の舌が這わされた。ぴちゃ、という音までが聴こえてくる。不自由な緊縛から、
僅かに視線を落とし、肌を舐める永泉を確認した。
「止めろと言って、いる・・・んん・・・」
「嫌なのでしょう?」
無遠慮に舌は蠢いた。 
「清めているだけです。この程度であまり感じられていては、先は続きませんよ?」
ふふっと笑って、形を変えつつあるモノに軽く触れた。
「先程、痛くしたのに、もう忘れて快楽を追っているのですか?」
先端が弾かれる。
「あなたは・・・どんどん淫らになっていくようですね・・・」
甘い雫とともに、永泉は口に含んだ。
「あ・・・・あっ」
がくんと泰明が撓った。乱れてしまった髪が宙を舞う。幾度も泰明を嬲った彼は、的確に追い
詰めていく。
泰明の呼吸は乱れ、大きく胸が上下する事で、縄がさらに皮膚に食い込んだ。
起こる苦痛と、下肢から与えられる快楽との区別が、曖昧になっていく。違っているようで、この
二つの感覚は似通っているのだと、霞みがかる意識で気づいた。
「でも、大きくなったらまた私にください」
「喋る・・・な・・・」
言葉に伴う吐息が、堪らないのだ。
「・・・駄目です。このように楽しい事を、どうして?」
「永泉、お願いだ・・・」
「私の名を呼んで下さい、もっと」
うっとりと永泉が呟いた。顔を上げ、苦しげな表情を浮かべている泰明を見つめる。
「もっと・・・」
永泉の指が切なく立ち上がるモノから奥へと向かった。
「これくらい、構わないですね?」
「あああっ!!」
いきなり三本もの指が捩じ込まれ、泰明は叫んだ。
「痛・・・、永泉!」
「でも、こちらの刺激がなければ、あなたは無理でしょう?」
ばらばらに指を動かし、知っている前立腺を擦り上げる。
「やめっ・・・! 止めろ!!」
「桃を持って来たせいで、こちらをお慰めする物を忘れてしまいました」
部屋を朧に照らす燭を一つ取り、永泉は火を吹き消した。
「まだ熱いかもしれませんが、我慢して下さい」
指を外しながら蝋燭をあてがい、一息に根元まで埋め込んでしまう。
「あ−−−−」
全てを咥えさせ、尚も指で押して、永泉は泰明を窺った。
「後でご自分で出してもらいます。こちらを鍛える事も少しは必要だと・・・。より大きな快感を
お互いが得る為に・・・」
永泉は泰明に馬乗った。
泰明が嫌だと首を振る。
「あなたとが、一番、感じる・・・」
ぐっと永泉が腰を落とした。

女の子出そうと思ったんだけどなあ。おかしいなあ?