「楊ゼンさんって、ショックに体の反応がついていかないさ?」
天化が細い手首を床に縫いとめたまま青い瞳を見開いている表情を見下ろした。
「何を言っている・・・」
「別に。いまさら抵抗しても、こんなに華奢な造りしてたらおれっちには関係ない」
「天化君、わけのわからない事を言われても困る。僕にはまだ仕事が残っているから、
退いてくれないか?」
「・・・それって天然?」
大げさに溜め息を吐いた天化の手が、きっちりと留められた襟元を掴んだ。ボタンを
外してやろうと思ったのだが、あまりにもきついので、苛立ちが起こった。
力任せに引くと、軟な絹はボタンを弾けさせて裂けてしまった。
「・・・!」
楊ゼンはひゅっと息を詰めた。
「部屋に戻る時は何か引っ掛けるといいさ」
「ふざけるのも大概にしないと、怒るよ」
「俺っちは最初から真面目さ。楊ゼンさん、あんたを抱きたい」
言った途端、楊ゼンの膝が天化の胴を狙って蹴り上げられた。間一髪の所でそれをかわし、
押さえつける力を強める。足はもう動かせないよう、自身の体重を掛けて封じた。
「あっぶないなあ。力ずくでは敵いっこないってわかってるだろう? それとも、ひどくされる
のが好きさ? 楊ゼンさん」
にっと笑った天化が大声で弟を呼んだ。
仙界から戻った兄に懐いている末の弟は、何時も彼の声の届く所にいるのを天化は知って
いた。
「・・・兄さん?」
躊躇いがちなノックが聞こえた。
「入って来い、天翔」
「止め・・・っ」
楊ゼンは精一杯身を捩って、破かれた着物から覗く肌を隠そうとした。その細い肩を掴み、
天化がぐいと引き戻す。
「何してるの?」
幼い声がして、それが近づいてくる。ふっと視線だけを上向けた時には、もう子供の瞳が見下ろ
していた。
「面白い事?」
「そうさ」
「じゃあ僕も混ぜてくれる?」
「勿論構わねえさ、楊ゼンさんは心が広いから」
ぱっと笑みを浮かべた天翔が床に膝をついて天化に抱きついた。
「手伝えるか?」
「え・・・と」
首を傾げた天翔が自身を抱くように破れた襟元に腕を回す楊ゼンの首に触れた。
「ん・・・」
楊ゼンが顔を背けた。
子供らしい体温の高い手が、するりと着物の合わせから肌にもぐり込む。さまようように動く
のを天化は止めなかった。
白い楊ゼンの皮膚がざっと粟立ってしまっている。
それが面白いと、天化もまた楊ゼンを封じても尚余裕を残す指でまさぐり始めた。
「い、嫌だ・・・」
「その割に感じてはいるさ?」
つんと尖った乳首を摘み上げながら天化が冷笑した。

じょん様へ。
終わってないどころか、何も始まってないし・・・。
まだお父さんが出てきてませんが、続きはまた明日にでも。