ベッドに降ろされて、楊ゼンは怯えた瞳を上げた。大きな青い煌めきが不安げに
揺れている。
これから何をされるかがわからなくて、先程のように恥ずかしいことをされるかも
しれなくて。未だ成長しきらない体が小刻みに震えた。
「私に全てを委ねなさい」
「・・・はい」
頷いても、震えが止まらない。
掻き上げた前髪の下、額に玉鼎は接吻した。じんわり温かくなった気がして、
楊ゼンが安堵の息を吐いたのも束の間、下肢に滑った師の手が、左右に脚を割り
広げた。
「やああっ」
開いた形で膝を曲げられ、秘め場所全てが晒される。体を横倒しにして、何とか
逃れようとすると、余韻を残すモノが掴まれた。
「ひっ!」
鋭い痛みが起こった。
「動くな」
「だって・・・」
ひくっと楊ゼンがすすり上げた。
「私が好きか?」
「はい」
楊ゼンは顔を覆った。
「師匠が好き、大好き」
「わかった」
握った掌の中から、桃に色づく先端を覗かせ、軽く舌で触れた。
「ああ、ん、っ」
背が反り返った。その事で浮いてしまった腰に、クッションを宛がい、落ちないように
玉鼎は固定してしまう。
「おまえが欲しい」
「ん・・・っ」
玉鼎の言葉が耳に届いているのだろうか? ゆるく楊ゼンが首を振った。
「−−−楊ゼン」
「嫌、こんなっ、・・・」
最も奥まった所に突然指が一本つぷりと潜り込んだ。煩い口を封じるかのように。
「あ−−ううっ」
不快感に近い痛みを覚えて、楊ゼンが瞳を見開いた。
「痛・・・いっ、師匠・・・」
拒む粘膜の抵抗を押し切り、ぐいぐいと指は根元まで差しこまれた。
「止めて、止めてっ」
今までは楊ゼンが本気で嫌がる事は、すぐに止めてくれたから。涙混じりに楊ゼンは
訴えた。
「駄目だ」
「お願いだから・・・っ」
ぐぐっと指が肉の中で曲げられた。
「慣らさねばおまえが辛いだけだ」
「でも、」
「指が嫌なら他の事をしてあげよう」
「え・・・?」
腕が取られ、楊ゼンは簡単に体を返されてしまった。顔がふかふかしたクッションに
埋まったせいで、隠され思わず安堵する。
「まだ、固くて小さいな」
玉鼎はそう言うと、楊ゼンの尻に手を掛けた。そこを支えに、背に唇を這わせていく。
解すように尻肉を揉み、接吻を数えきれないほど降らせた。
「ああ・・・」
緊張に強張るのを宥めるように、口付けは繰り返される。下肢を突き出したままで震えて
いるのが愛しくて堪らず、玉鼎は細い体を余す所なく撫ぜた。
唇がじょじょに下へと降りてくる。尻の割れ目に沿って小さな窪みを舌が伝う。
「恥ず、かしい、そんなとこやだぁ・・・」
「一度はおまえの言う事をきいてやっただろう?」
だからもう聞かぬ、と玉鼎が囁く。
華奢な体、封じるのはあまりにも容易だった。じゅうぶんに濡れるまで楊ゼンを愛撫して
涙を絞り、最後に汗を浮かべる尻に軽く歯を立ててから玉鼎は体を起こした。
「力を抜きなさい」
もう楊ゼンには師の言葉がどこか遠い所から聞こえるほど、朦朧としていた。
そんな彼に苦笑し、充分固くなっているモノを、入口に当てた。
慣らしてはやっても、初めての場所に侵入するのは抉じ開ける事に近かった。
「ひい・・・っ!」
無理に押し開かれる痛みに楊ゼンが悲鳴した。
「痛いか?」
「・・・は・・・い・・・」
シーツを掴む手が力を入れすぎて白くなってしまっていた。
「だが、私は嬉しいよ」
「うれ、しい・・・? っ、か・・・・はああ・・・!!」
強引に腰を進めてくる玉鼎に疑問は流された。
「私をひどいと思うか?」
楊ゼンの中に全てを収めた玉鼎は、きつさに自身もかなりの痛みを受けながらも、優しく
問い掛けた。
「痛い・・・」
背筋を走り、脳に突き刺さる痛み。苦しくて、こんな痛みは今まで知らなくて。
「・・・・・・」
楊ゼンは体内に自分のものではない脈動を感じていた。成長途上の楊ゼンの鼓動と
同調し、一つに合わさっていくようだった。
痛くて堪らない。
早く抜いて欲しいと体は訴える。
それでも!
「師匠がいい。・・・師匠の好きにして、いい」
「ありがとう」
涙が指で拭われた。


眠る楊ゼンをブランケットでくるんでやる。まだ早い夏では夜になると冷え込むからだ。
初めての交わりでも健気に楊ゼンは堪え、傷つく事は免れた。
小さな身体を抱きしめる。
愛しくて堪らない魂ごと包むように。

Vino Vino はこれにて終わりv