濡れた音が響く。
含みきれないモノは、楊ゼンを苦しめる。
太乙は柔らかい椅子にゆったり身を預け、緩く開いた脚の間に屈んだ楊ゼンから奉仕を
受けた。
「尻を出してやりなさい。その方が気分が出る」
ピクンと楊ゼンが反応した。
下腹部に靴先を潜らせ、圧迫して腰を掲げさせる。膝が浮き、バランスを崩した楊ゼンは
太乙にしがみついた。
唇が太乙のモノから離れた。
「聞こえなかった?」
再び口を近づけた楊ゼンの顔を上向かせると、青い瞳が切なげに揺れた。
「痛い思いをしないという事をきけないみたいだね」
楊ゼンが恐怖に逃げるより早く、機械音が響いた。
「くう・・・っ、あ、あああ・・・っ」
腹を押さえて身を丸め、楊ゼンは床の上で悶えた。
今より出力は弱かったが、この酷い衝撃を朝から楊ゼンは受け、堪えてきたのだ。
「は、あ、うううっ、ああっ」
痙攣する楊ゼンの髪を太乙が踏みつけた。
「言う事、聞くね?」
コクコクと頷くのを機に、内部で荒れ狂う振動は停止した。
「続けなさい」
白い尻を晒し、四つ這いに近い姿にさせた楊ゼンの唇を開かせる。眉を寄せ、顔を苦悩に顰めて
いる楊ゼンを、太乙は冷ややかに見つめた。
「やる気がないから下手だね。嫌々なのがわかるよ」
口いっぱいに頬張っていては返事も出来なかったが、絡める舌の動きが早まった。
「・・・ん・・・」
唾液が顎に伝わった。
拙い口淫では太乙は満足せず、添えた手で楊ゼンの頭を強く引き寄せた。
「ぐううっ」
喉深くにそれが触れ、楊ゼンが激しく咽る。
「もういい」
苛々と太乙が言った。幾度か全てを含ませる為、押さえた頭を前後させた後、無理矢理
口を剥がさせた。
寛げた道服の裾を直し、楊ゼンを蹴り退ける。
「私は戻るよ。バイバイ楊ゼン」
涙が青い瞳にもり上がった。握り締めた太乙の着物を離さず、楊ゼンが首を振る。
これみよがしの溜め息を太乙は吐いた。
「机の上に乗りなさい」
「え・・・?」
「口で私を満足させられないなら、後ろを使うしかないだろう? 譲歩だよ。それも出来ない
なら、本当にさようならだ」
楊ゼンが強張った。また、あの部分を使われるのだ。嫌で、痛くて、辛い場所を。
「どうする?」
重ねて問われ、楊ゼンは立ち上がった。
仰向けに横になるよう命じられ、冷たい机に身を預ける。磨かれた黒檀に、長い髪が広がり、
憂いのある顔が僅かに映った。
剥き出しのままだった下半身では余計にひやりと感じられた。
「裾は自分の手で持っているんだ。私の邪魔にならないように」
震える指が裾を掴んだ。
太乙は楊ゼンの下肢を抱え上げ、胸につくほど、折り曲げてしまった。
「ふふ、私に口淫奉仕してる時もだったけど、凄い格好。お高い君が、ね」
上はきっちり衣服を着けているのに、下半身だけ淫らに晒して・・・。
羞恥に染まる頬を軽く擽り、嘲笑する。
「じゃあ挿れる為に抜いてあげるよ。それとも、このままがいい? 身体の深い所まで楽しめる
んじゃないかな?」
驚いて楊ゼンが、足を動かし、肘をついて半身を起こした。
「太乙様・・・」
「誰が姿勢変えていいと言った?」
瞬間、強かに頬を打たれて、楊ゼンは倒れた。
体勢を立て直す間を与えず、太乙は圧し掛かり、指で内部を探ると、一息に挿入させていた物を
抜き取る。
「あううっ」
「さあ、私を満たしてごらん」
「−−−−!!!」
がくんと仰け反るのを押さえつけ、根元まで捩じ入れる。
頭を振った楊ゼンから透明な涙の雫が飛び散った。
「やあああっ」
「朝から広げられて、敏感になっているだろうけど、何時ものような痛みはないはずだ。嫌がって
ばかりいないで、少しは私を満足させる事を覚えろ、楊ゼン!」
腰を掴んで、激しく抜き差しし、太乙が未だ冷めた声で楊ゼンを詰る。
「ああっ、ああっ、」
それでも太乙を拒む態度に、責めが益々きつくなった時・・・。
リリリリ・・・
机の端に置かれていた電話が鳴り出した。
はっと楊ゼンが硬直した。太乙も動きを止め、室内にただ呼び出し音だけが響いた。
「煩い、取りなさい楊ゼン」
「・・・出来ません」
とたんにぐいっと突き上げられて、苦痛に涙が迸る。
「取るんだ」
がたがたと震える体を楊ゼンは電話へと捩った。咥え込まされたままだったので、新たな痛みが
背筋を突き抜けた。
「・・・はい、楊ゼン・・・です」
語尾が途切れがちになるのを押さえ、楊ゼンが言葉を綴った。
「・・・張奎君? 今からここ・・・へ? 今は・・っ!」
楊ゼンは空いた手で口元を塞ぎ、溢れかけた悲鳴を殺した。知らない間に裾が指から離れ、腹部
半ばまで隠れてしまっていた事に対する罰が与えられたのだ。
掌にすっぽり収まる萎えた小ぶりのモノを握り締められ、さらに力が加えられていく。
「ぐうううっ」
うめきが漏れた。取り落とされた受話器が派手な音を立てる。
(もしもし、教主?)
太乙の手を外させようと抵抗するのを、きつく突き上げる事で制し、返事をと促した。
(何があったのですか?)
幾分高い張奎の声が通話口から聞こえる。
「大・・・丈夫、だから。今は少し忙し・・・うっ!、いから・・・後でこちらから、連絡・・・」
それだけをやっとの思いで伝え、楊ゼンが電話を切った。
「来てもらえば良かったのに」
楊ゼンが、信じられないと、太乙を見つめた。
「教主の俗に塗れた浅ましい姿を見せれば、もっと皆が親しく接してくれるかもね。何せ君は近寄り
難いそうだから」
薄く太乙が笑った。
「時は無限にある。私がしなさいと言えば、何時、何処でも、何であっても出来るように、たっぷり
仕込んであげよう」
「太乙様・・・」
人間性を否定される言い草に、楊ゼンの顔が蒼白に変じた。
太乙は帯を結びを支える針金を一本抜いた。長さは20センチほど、太さは3ミリくらいだろうか。
「何されるかわかる?」
鈍い銀を太乙が舐めた。
「玉鼎師兄にもされた事あるだろう? 言ってごらん」
胸元に這わされた指が、着けさせたままだった上着をまさぐる。
「・・・」
楊ゼンは答えなかったが、さして太乙は気にしなかった。
「乳首捻ってやろうと思ったけど、服が邪魔をして残念だ」
代わりにと、抽送を強め、太乙が精を吐き出した。
楊ゼンから身体を離し、椅子に深く腰掛ける。
「まだ、動くな」
身じろぎかけた楊ゼンが、動きを止めた。
「そう。言う通りにしていれば、余計に痛くはならない。尤も、予定されている痛みは避けようがない
けどね」
太乙は足首を掴んで、楊ゼンを引き摺り寄せ、逆手に持った針金を神経の集中する鈴口に突き刺した。
「あああ−−−っ!!」
悲鳴が部屋に広がった。
挿入は行き止まるまでされ、先端を僅かに外に残して、太乙は針金を切断した。
次いで蕾に指を滑らせると、機械製の玩具をまた咥えさせる。太乙と交わった直後の体はすんなりと
異物を飲み込んでしまった。
「いやあっ、どうして・・・っ」
「君は抜いてって頼んだけど、もう一度入れないでとは言わなかっただろう?」
太乙は立ち上がり、着物を調えた。
「子の刻くらいに、私の所へおいで。わかってると思うけど、前のが抜かれていたりしたら酷いよ。
・・・さあ、執務に戻るんだ」
へたりと床に座り込んだ楊ゼンに下履きを投げ与え、太乙は背を向けて出ていった。
啜り泣きを聴きながら。

何だろうなあ、と思いつつ終了です。続きを書くかも、です。