「・・・それでは教主、明日までにこれらに決済を・・・」
「わかりました」
楊ゼンは渡された竹管の束を、抱えた。執務机に纏めて置き、燃燈に頭を下げる。
「至らない事ばかりですが、よろしくお願いします」
「ああ」
二人の会話は、ドアがノックされる事で遮られた。
「太乙です。お呼びとかで」
「では私はこれで下がらせて頂きます」
部屋を出る燃燈と入れ違いで、太乙が姿を現した。
「何か用かな? 研究室をあまり長く空けてはいられないのだけど?」
太乙が帯びた玉佩が、彼が歩むたび涼やかな音を立てた。
辛そうに表情を歪める楊ゼンの側まで近づくと、顎に手を掛け、顔を上げさせる。
「ねえ?」
「・・・太乙様」
楊ゼンの蒼い瞳が潤んだ。
「赦して、下さい・・・、もう、苦しい・・・」
「だから何を?」
首を傾げ、太乙は冷たく楊ゼンを見つめた。
勿論、理由はわかっているのに。
「私に何かを頼むにしても、座ったままとはずいぶん君も偉くなったものだね」
言われ、楊ゼンは慌てて立ち上がった。太乙の前に跪き頭を垂れる。
太乙の足が楊ゼンの頬に触れた。絹の道服の裾が、さらりと顔を撫ぜる。
「私を呼んだ理由は? 用もなく呼びつけたのだったら、もう帰るよ」
「待って・・・!」
踵を返しかけた太乙の着物を楊ゼンが掴んだ。これみよがしに太乙が溜息を吐く。
強く握り締めた手が震えている。心の内で激しく葛藤しているのだろう。
そんな楊ゼンを、太乙は面白そうに観察した。
「太乙様が入れられた物を・・・」
「ん?」
「抜いて・・・」
語尾が掠れた。
「どうなっているか、私に見せてごらん」
「・・・!」
「ここで」
誰が来るともわからない執務室で。
楊ゼンはゆっくり立ち上がり、太乙に背を向けた。
「必要な所だけでいいから」
全裸になるよりも、淫らな姿を求められる。白いズボンを楊ゼンが落すには、まだ少しの
時間を必要とした。
「体を折って、足首を持ちなさい。それから裾も持ち上げて」
長い上衣で、隠されるのを、太乙は許さなかった。
啜り泣きが楊ゼンから漏れた。
「仙道の最高位に立つ者がすぐに涙して情けないと思わないのか?」
晒された、白い臀部に太乙が手を滑らせる。
「うう・・・っ」
「ふらふらしないで、しっかり立つんだ」
左右に寛げ、秘めやかな蕾を外気に触れさせた。ひやりと伝わる風に、楊ゼンが竦んだ。
太乙の眼前に表れたそこは、赤く充血していた。強く引き締められているのは、何時もの
慎ましさだけではなく、他に原因がある事を窺わせる。
つつつ・・・と指が秘裂を辿った。
「どんな気分?」
「苦しい・・・」
呼吸は浅く、すっかり上げってしまっていた。他者に気づかれないように押さえているのが、
部屋に入った瞬間にわかった。
「でも、美味しそうに含んでいるよ、ここ」
宛がわれた指が、入口を割った。赤く敏感になっていたので、指一本とはいえ、楊ゼンに苦痛を
与えた。
根元まで埋め込むと、先端に異物が触れた。埋められた物は、しっかり楊ゼンの粘膜に根を
張っている。
昨夜、太乙が入れた物だった。機械仕掛けで、内部に収められて後は、無秩序に動き、膨らみ、
止まりもする。作動周期を予測出来ないだけに、楊ゼンは一日中怯えていた。
「君の一部みたいにしっかりくっついているね。離したくないんだろう? 本当は」
床に流れた髪が動いた事で、楊ゼンが首を振った事がわかる。
「嫌です。こんな・・・太乙様・・・」
「私が君に作ってやった物が気に入らないんだ」
「い・・・痛い!!」
内壁に太乙が爪を立てた。
楊ゼンは身を捩って逃れ、太乙に向き直る。
「相変わらず・・・」
色の薄い瞳がすっと眇められた。
「物を頼む時の態度がなっていないね」
未だ低い姿勢だった楊ゼンの肩を強かに蹴りつける。反動で倒れた体を踏みつけ、上から見下
ろした。
「それとも誰かに頼む? 君のそこを出してね。私でなければ、取るのも大変だよ。それまでじっと
堪えるのかな?」
「酷い・・・」
「酷い? 私は礼儀を教えているだけだけど」
戸惑いが楊ゼンに表れた。
さらなる言葉を太乙は言わず、じっと楊ゼンに視線を注いだ。
「あ・・・」
楊ゼンが腕を支えに体を起こした。
「こちらへ・・・」
先程まで自身が座っていた、教主の椅子に太乙を誘った。
「それで何をしてくれるの? お茶でも煎れてくれるのかい? 教主自ら」
すっと楊ゼンは膝を付いた。
「・・・お慰めします」
以外な行動に、太乙は瞬きした。
「君が・・・へえ・・・」
身を屈め、さらさらした髪を弄んだ。
「では、お手並み拝見といこうか」

−−−続きます。
だから何なの? とか言われたら心苦しいですう。急に乙楊が書きたくなったんです。