「師匠、もう赦して・・・」
  楊ゼンの悲痛な哀願が漏れた。
  幾度玉鼎を受け入れようとも、慣れる事の
ない、痛みと苦しみ。
  押さえつけられ、掲げさせられた、場所に
食い込む熱砂の感覚。
「もっと力を抜け、楊ゼン。おまえの全てを開いて
私と同調した時、その時が来れば・・・」
「何・・・? や、ああっ・・・」


   暗い夜、月も星もない、漆色が、大気に
溶ける・・・。